卒業する君たちへ-。札幌市出身のシンガーソングライター半崎美子(39)が、11日に5枚目シングル「布石」をリリースした。

上京20年をきっかけに制作した新曲は、ひたむきに生きる人たちに向けた人生賛歌となった。新型コロナウイルスの感染拡大で、ほとんどの卒業式が通常通り行われていない。今春、この状況のなか巣立った卒業生たちにメッセージを送った。

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メンタルソングの女王が、複雑な思いで巣立った卒業生にエールを送った。

半崎 卒業式ができなくなったり、準備もなくお別れが来てしまったとしても、ともに過ごした毎日や、積み重ね、育んだ日々は決して消えません。普通では経験しないことを乗り越え、明日を切り開く皆さんは、たくましく、より強い絆を力に、旅立つはずと信じています。

新型コロナウイルスの影響で、全国各地で卒業式が自粛されたり、規模が縮小されている。半崎が昨年から行っている卒業シーズンに学校訪問するプロジェクト「半崎美子があなたの学校へ歌いに行きます」も、今年は予定していた5校が中止。佐賀県の高等専修学校、佐賀星生学園には校歌を書き下ろしたが、生徒と一緒に歌うはずだった卒業式の出席は中止になった。門出に立ち会えなかった残念な思いが、熱いメッセージとなった。

11日にリリースした新曲「布石」は、ひたむきに生きる大切さを歌った。上京してから今年でちょうど20年。節目の年に音楽一筋で走ってきた自身を振り返った。「一つのことを続けることはいろんなものを諦めたり手放すこと。かけがえのなさ、強さを歌いたかった」という思いを五線譜に込めた。

毎日、懸命に生きる人たちへの応援ソングでもある。交流するファンからは仕事や子育て、介護などの切実な思いを聞く。そんな中で生きている人の強さを感じ力をもらっている。「一途に進む人しかたどり着けない今日を歌っている。共鳴し合える曲にしたかった」。アレンジで参加した名プロデューサー亀田誠治氏(55)にも刺激され、琴線に触れるメロディーが生まれた。

2月末からライブなど20件以上のイベントが中止になっている。それでも「音楽を作る人や芸術家はどんな状況でも、その中に希望を見つけないといけない」と前を向く。6月からは道外6都市、8月からは道内6都市を回るツアーが始まる。「直接、歌を届けることができるその時に向けて準備していきたい」。ファンと再会できるその日を待っている。【西塚祐司】

◆布石 11日に発売。表題曲「布石」のほかに、東日本大震災を思って書いた「朝凪」、同震災復興プロジェクト「桂島“うた”プロジェクト」から誕生した「わせねでや」のカバー、仙台南高音楽部合唱団が歌唱した「サクラ~卒業できなかった君へ」と全4曲を収録。価格は1091円(税抜き)。