アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミー(AMPAS)は15日(日本時間16日)、新型コロナウイルスがパンデミック(世界的大流行)の状況になったことを受けて、21年2月28日に予定されていた授賞式を同4月25日に延期すると発表した。また候補リストの発表は2月9日、対象作品の選考期間は20年12月31日から21年2月28日に、ノミネート作品の発表は同3月15日に、それぞれ延期された。

AMPASのデビッド・ルービン会長とドーン・ハドソンCEOは、公式サイトを通じ、連名でコメントを発表。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、世界各国で映画館が休業に追い込まれ、映画制作もストップしている状況を鑑み「延期することで、映画製作者が誰にもコントロールできないことで罰せられることなく、映画を完成させてリリースできる柔軟性を提供することを望んでいます。今回のことで、歴史を通して、世界中の映画ファンを映画を通じて団結させることになるでしょう」とコメントした。

AMPASは今回の延期に先立ち、4月28日に第93回アカデミー賞の応募資格を暫定的に一部変更すると発表している。従来はロサンゼルス郡内の映画館で1日3回、7日間連続で商業上映された作品のみが候補作品の資格を与えられたが、米国内の劇場が休業したことを受けて、劇場公開を予定していた作品が商業配信やビデオ・オン・デマンド配信をした場合も候補作として認めることにした。加えて、投票権を持つアカデミーの会員に対し、配信から60日以内にメンバー専用ストリーミングサイトで配信することも義務付けた。また劇場上映の条件を、より容易に満たすために、ロサンゼルス郡に加えイリノイ州シカゴ、フロリダ州マイアミ、ジョージア州アトランタも上映地区に加えた。

AMPASは「アカデミーは、映画の魔法を体験するには、劇場で見るよりも優れた方法はないと信じています。それに対する私たちの取り組みは変更されておらず、揺るぎません。それにもかかわらず、歴史的に悲劇的な新型コロナウイルスのパンデミックは、賞の資格規則に一時的な例外を必要とします」と説明している。