違法薬物を所持したとして、覚せい剤取締法違反(所持)と医薬品医療機器法違反(同)の罪に問われたシンガー・ソングライター槇原敬之(本名・範之)被告(51)は21日、東京地裁(坂田正史裁判官)の初公判で起訴内容を認めた。即日結審し、検察側は懲役2年を求刑した。

槇原被告は、上下スーツ姿で入廷。保釈時からは髪も刈り上げ、マスクをして初公判に臨み「槇原敬之です。(職業は?)シンガー・ソングライターです」と答えた。

検察側は冒頭陳述で、被告は20歳のころから危険ドラッグ「ラッシュ」を入手、使い始め、指定薬物として規制されるようになってからも使用を続けていたと指摘。遅くとも99年以降は覚醒剤を使用するようになり、同年に有罪判決を受けた後も覚醒剤やラッシュを使っていたとした。

起訴状によると、仕事場などとして使用していた東京・港区のマンションで18年3~4月、ラッシュ約64・2ミリリットルと覚醒剤約0・083グラムを所持。今年2月には、東京・渋谷区の自宅でもラッシュ約3・5ミリリットルを所持したとしている。

弁護人質問で槇原被告は、「ここ数年は(薬物の使用は)ありません」と主張した。18年4月に羽田空港近くで警察官の職務質問を受けた際や、今回の逮捕時の尿検査ではいずれも「陰性」だったという。それでも小びんに入れたラッシュを所持していた理由について「こういうのを捨てるのは、集合住宅だし気をつけた方がいいと聞いたことがあって、とりあえず取っておいた感じです」。

現在の自宅にも、小びん1本をたんすの中で所持していたが「引っ越しをした時に見つかった。現在のパートナーに見つかってはいけないと思って、かぎのついている洋服だんすのセーフティーボックスに入れておいた」とし、新パートナーの存在も認めた。

薬物の入手元も、前パートナー以外にはいないといい、ここ数年薬物を使用していなかった理由についても「使っていた時も1人で使っていた。でも全然楽しくないし、警察にずっとおびえながら生きていくのもばかばかしくなって、薬自体が嫌になってやめました」。今後についても「本当に薬を使うことが嫌になった、つらいことや大変なことがあっても、今は周りに素直に相談できるし、パートナーともいろいろなことを分け合ってやっていけるから大丈夫。薬を使わなくても、十分幸せだと感じているからです」と誓った。

また裁判では、今回の逮捕で槇原被告の所属事務所が8500万円の損失を受け、デビュー30周年の作品やツアーが中止になったことで1・8億円の売り上げ見込みがなくなったことも明らかになった。

判決公判は8月3日、同地裁で開かれる。