写真家の篠山紀信氏(79)が4日、東京・アップリンク吉祥寺で行われた映像作品「イル・ノワール 〓(サーカムフレックスアクセント付きI)LE NOIRE」完成披露試写会に登壇した。同氏は「監督、撮影、篠山紀信と書かれるのは初めて。映画が掛かるところで初めて見て、とにかく、私たちも感動している」と感激した。

「イル・ノワール」は、Rinaこと松井りな(26)とMariこと松井まり(23)姉妹が、篠山氏の写真集「premi〓(グレーブアクセント付きE小文字)re」(プルミエール)シリーズ5作目に参加するのと並行し、制作された映像作品。3月に同時刊行され、5月22日にに映像が同劇場で公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて延期となっていた。

映像は、Rinaが一糸まとわぬオールヌードを披露するなど、篠山氏の官能的な写真がふんだんに盛り込まれつつ、その映像が動きだす、一種独特な作品となった。この日、初めて劇場のスクリーンで鑑賞した篠山氏は「こんなにたくさんの人と見ちゃって…初めての感覚に取り込まれた感じ。要するにストーリーもなければせりふもない。感覚だけで作っているもの。何とも言えない不思議さとセクシュアル感じが、作った僕も、人がたくさんいると恥ずかしい」と感激した。

Rinaは「プルミエール」シリーズ5作で、篠山氏とともに作品を作ってきた。「先生からいろいろなものを感じ、引き出していただき、まさかこんなに映像と写真が融合した作品になったのは驚き。ストーリーがあるわけじゃないので、感じていただいて、自由にこういうストーリーだと頭で考えていただいても良いし、自由に見ていただきたい」と笑みを浮かべた。

篠山氏と初めてタッグを組んだMariは「篠山紀信に撮られるんだろうかと、全く想像がつかなかった。現場に入ったら、空気にのまれ、姉から撮影が始まったのを見て、覚悟が決まった。ここの一部になるんだと。見習って必死に食らい付いた」と撮影を振り返った。その上で「完成した作品を見られて感慨深い。演じているという感覚が全くない。1番最初のカットの時に、なんだこの現場は? と圧倒された。先生が雰囲気をつくり出してくれた」と感慨深げに語った。Rinaが「カメラを持ったら雰囲気が変わる」と突っ込むと、篠山氏は「カメラを持たないと普通の人なんだ。困ったもんだ」と苦笑した。

篠山氏は、質疑応答の中で、「写真と映像、映画の間をいく、新しいものを見た思い」と感想を口にした記者に対し「新しいものを見たと言われると、うれしいね」と満面の笑みを浮かべた。