NEWS加藤シゲアキ(33)が書いた小説「オルタネート」(新潮社)が、第164回直木賞の候補に選出されたことが17日、分かった。

加藤はこの日、都内で会見し、思いを語った。 先月新型コロナに感染し、14日に仕事復帰した。周囲に迷惑をかけたと落ち込む中で知らせを聞き、その瞬間の驚きを「フットボールアワーの後藤(輝基)さん風に言うと『高低差ありすぎて耳キーンとする』ですかね」と笑いを交えて表現。ノミネート理由については「全くわかりません。いつも全力でやってきたので、運がよかったと受け止めています」と控えめに喜んだ。

新人賞を経ての作家デビューではなく、タレントの立場で書かせてもらえたことに引け目を感じていたという。「作家」と名乗ることに迷いがあったが、今回の選出で「(作家として)認めていただけたのかな」。デビュー作となった12年1月の小説「ピンクとグレー」発売時、書店員から「応援し続けたいから書き続けて」と励まされたことを振り返り、「いっちょかみと思われたくなかった。一生書き続けることが、受け入れてくれた小説界への恩返しになる」とかみしめるように語った。

高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった世界を舞台にした青春群像劇。読者の裾野を広げる責任も感じ「若い読者に本の楽しさを実感してもらいたい」。集まった報道陣の多さに「これが直木賞の力か」と笑ったが、受賞への自信を聞かれると「ここまで来られれば十分。(1月の選考会まで)はしゃがず、たんたんと過ごしたい」と静かに話した。

「ピンクと-」で作家デビュー後、NEWSの活動と並行して執筆を重ね「閃光スクランブル」「チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)」など5冊の小説を出版している。【遠藤尚子】

○…4人組バンド「クリープハイプ」の尾崎世界観(36)の「母影(おもかげ)」は、芥川賞の候補作に内定した。「新潮」12月号に掲載された中編作品。コロナ禍でライブ活動が制限される中で、原稿用紙150枚の作品を完成させた。尾崎は16年に初小説「祐介」を発表して以降、「苦汁100%」など著書を発表し、文筆活動も行っている。 

◆直木賞 「文芸春秋」を創刊した菊池寛が、直木三十五を記念し1935年に創設。大衆文学の作家が対象で、同時に誕生した芥川賞は純文学の新進作家が対象となる。選考委員会は年2回。正賞は懐中時計、副賞100万円。第1回受賞者は川口松太郎。