フリーアナウンサー古舘伊知郎(66)がトークライブ「古舘伊知郎トーキングブルース 2021」の全国ツアーを発表した。今年8月から11月にかけて全国11カ所でしゃべりまくるという。来月24日には東京・渋谷の伝承ホールで一夜限りの「古舘伊知郎トーキングブルース プレミアムナイト」を前哨戦として行う。

発表に先駆けて、他紙の記者らと一緒に、古舘をインタビューした。インタビューと言っても、しゃべりまくる古舘に途中、合いの手のように質問するだけで、1時間半ノンストップの“プレトーキングブルース”だ。

東京、大阪のような大都市でなく、群馬の太田や福岡の柳川など地方都市も回るという。

古舘は「昔、プロレスの巡業で行ったような体育館も訪れてみたい。ゆくゆくは昔の興行みたいに○○青果市場駐車場みたいなところで公演をしてみたい。日本全国にトーキングブルースを広めていきたい。“おしゃべり変態仮面”として頑張りますよ」と語った。

古舘に対するスタンスは、記者の年代によって少し異なっていた。30代の記者たちは「テレビ朝日『報道ステーション』の古舘伊知郎キャスター」のイメージで、対して50代の記者たちは「テレビ朝日『ワールドプロレスリング』実況の古舘伊知郎アナウンサー」という印象が強かった。

プロレス少年だった記者にとって、プロレスや選挙取材でアントニオ猪木氏(78)を取材できたことは大きな喜びだった。そして、芸能記者として古舘を取材して、プロレスのあれこれを聞けるのもうれしい。

今回はプロレス実況アナ時代の86年にブルーザー・ブロディと対談した時の話を聞かせてもらった。ブロディは、前年の85年にジャイアント馬場さんの全日本プロレスから、古舘が実況をしていたアントニオ猪木氏の新日本プロレスに電撃的な移籍をした。

身長約2メートル、約135キロの巨体。ひげ面にカーリーの長髪、毛皮のベストに毛皮のブーツ、叫び声をあげ、チェーンを振り回しながら入場するブロディを、古舘節は「インテリジェンスモンスター」「動くダビデ像」「哲学する乱暴者」などと表現した。

古舘は「ブロディが『お前の実況は素晴らしい』と褒めてくれた。そしてスリーパーホールドをかけさせてくれた。今での、あの感触が左腕に残っている」と話してくれた。ブロディは88年にプエルトリコのプロレス会場で、同僚のレスラーに42歳で刺殺された。

かつて、記者が古舘に、猪木氏が新日本プロレスを旗揚げした当時のライバルだった、ジョニー・パワーズのファンだったと話した時、パワーズの必殺技「8の字固め」(パワーズ・ロック)をかけられた時の話を教えてくれた。「8の字固め」は、よく知られる「4の字固め」の倍の威力を持つというのが売りなのだが、まあ、変形の4の字固めだ。

その時古舘は「ちょっとは技のことも知らなくてはと、ホテルのロビーの端でかけてもらったんだけどね。大して痛くない。だけど、パワーズがニヤッと笑ってキュッと力を入れると激痛が!」。青あざが残り、1週間はしびれがとれなかったという。

これからも、プロレスの話を聞かせてもらうために、頑張って取材を続けたい。【小谷野俊哉】