NHK大阪拠点放送局は17日、石川県内で発生した地震の影響で、放送延期としていた「第51回上方漫才コンテスト」について、23日午後10時から放送すると発表した。

同コンテストは16日夜に放送予定だったが、地震の発生で延期されていた。新たな放送日が決まったことで、この日夜、渾身(こんしん)のコント2本を繰り出し、最終チャンスで本選初出場だった「ビスケットブラザーズ」が優勝したことも発表された。

「ビスケット-」は、香川出身のきん(遠山将吾、30)と、大阪出身の原田泰雅(たいが、29)は、ともにNSC(吉本総合芸能学院)33期。前回優勝のネイビーズアフロと同期で、しゃべくり漫才を伝統芸とする上方演芸のコンテストに、シチュエーションコントで挑み頂点に立った。

きんは「由緒ある大会で、コントだけど優勝させていただいて、ありがたい」。原田も「(コントで勝負の)覚悟で来た。ドキドキ、興奮を覚えています」と言い、笑った。

本選1本目は、原田が“人間レジ”にふんした「レジ使い」を軸に展開、ニッポンの社長と臨んだ最終決戦は「オジサンギャル」を演じた。ともにシチュエーションコントだったが、芝居を巧みな間、話芸でつないで、会場をわかせた。

過去にはオール阪神・巨人、トミーズ、フットボールアワー、笑い飯、かまいたち、ミキ、ゆりやんレトリィバァら多彩なチャンピオンが生まれた今コンテスト。結成10年の「ビスケット-」にとって、ラストチャンスだった。

きんは「漫才コンテストという名前の大会で、コントも評価いただけると聞いて、自信を持っていた」と話したが、一方では、キング・オブ・コントで思うような結果が残せず、原田が「段々、自信をなくしていた」と吐露。揺れる思いの中、最終チャンスという現実が2人に度胸を与えた。

「今まで、NHK(上方漫才コンテスト)に合わせにいっていた。今年はもう、落ちたら落ちたでいいや! と」。きんは、開き直れたことが奏功したと言い、原田も「最後だし、もうふりかぶって投げましたね。今年が一番、楽しめたかな」と、迷いなく全力投球で勝負できた結果だと自信を深めた。

悲願の頂点に立ち、きんは「香川のおばあちゃんに(優勝を)伝えたい」。原田も「お母さんですかね」と照れ、支えてくれた家族に感謝の思いも口にしていた。【村上久美子】