落語家の三遊亭圓丈(さんゆうてい・えんじょう)さん(本名・大角弘=おおすみ・ひろし)が11月30日午後3時5分、心不全のため都内の病院で死去した。76歳だった。12月5日、落語協会が発表した。300本超の自作を発表し「新作落語のカリスマ」と呼ばれた。葬儀・告別式は近親者のみで執り行われたという。喪主は妻ユリ子(ゆりこ)さん。同協会では「ご香典・ご供花などのお気遣いは故人の遺志によりご辞退させていただきます。謹んでご冥福をお祈りいたします」としている。

名古屋市出身の圓丈さんは、落語家を目指して明大演劇科を中退。1964年に「昭和の名人」と呼ばれた六代目三遊亭円生に入門し、ぬう生の名に。69年二ツ目昇進、78年真打ちに昇進し三遊亭圓丈を襲名した。1981年、日本放送演芸大賞ホープ賞を受賞。01年落語協会役員に就任、昨年同協会理事に就任した。「グリコ少年」など数々の新作を手掛け、多くのファンを持った。また影響を受けた落語家も多く「圓丈チルドレン」と呼ばれる。

多趣味でも知られ、神社や寺に置かれている「狛犬」の研究家でもあり、「THE狛犬!コレクション」の著書も。パソコンマニアでも有名で、パソコン雑誌での連載を持ち、パソコンゲームに精通した「ゲーマー」でもあり、プログラムも組むことができる博識だったという。

落語界について記しベストセラーになった86年「御乱心」や、自身の落語について詳細に語った「ろんだいえん 21世紀落語論」など、多くの著書がある。

また1980年代初めには蚊取り製品「金鳥マット」のCMで阪神の掛布雅之氏と共演し、「カ、カ、カ、カ、掛布さん。蚊にきくものは何でしょう」の印象的なフレーズがお茶の間で話題となった。