クリント・イーストウッド監督作品「クライ・マッチョ」の公開を記念する過去作上映会が24日、東京・新宿ピカデリーで行われ、女優忽那汐里(29)、映画監督李相日氏(47)が舞台あいさつを行った。

日本版「許されざる者」(13年)に出演、監督した縁でイベントに登場。「許されざる者」「グラン・トリノ」「アメリカン・スナイパー」の3作品の上映ラインアップに、忽那は「クリスマスイブにこの映画を見る人は、よほど映画がお好きな方」と笑顔をみせた。

日本版「許されざる者」に遊女役で出演した忽那は、顔を切られる壮絶なシーンを振り返り「今までいちばん鮮明に記憶がある。あのシーンは顔に血のりを仕込んで、失敗したら着物もメークもやり直しになるから、プレッシャーを感じていました」と話した。

また、当時のオーディションを振り返り「李さんがまったく私の顔を見ていなくて、そのオーディションは手応えがなかった」。その意図を問われた李監督は「意図的じゃありません」と苦笑い。「若い女優さんたちは選ばれるためにオーディションに来ていて、ものすごい眼力で見てくるので、それに耐えきれなくなる」と照れながら明かした。

海外にもフィールドを移して活動中の忽那は、「日本からビデオを送って、出演が決まってから現地入りして皆さんお会いするという、なかなか不思議な経験です」とハリウッドのオーティションシステムについて語った。「オーディションは1個ずつ登っていきながら4、5回はやる。最初はシステムが何も分からず、1個1個教えていただいた」と話した。

イーストウッド監督の最新作「クライ・マッチョ」(1月14日公開)は、監督デビュー50周年、40作目のアニバーサリー作品。同監督を、黒沢明、今村昌平とともに「勝手に心の師匠3監督」とする李監督は、「イーストウッドが歩いてる、しゃべってる。それで満足。90歳を超えたおじいさんの笑顔の瞳が少年のよう」。忽那も「とてもあたたかい作品」と話した。