櫻坂46のシングルポジション3列目メンバーが出演する「3rd Single BACKS LIVE!!」が1月8、9日に、東京・有明の東京ガーデンシアターで行われた。

「私たちが、櫻坂46を、強くする。」のキャッチ通り、グループにとって欠かせない貴重なライブになりつつある。

「BACKS LIVE!!」は2回目の試みとなった。櫻坂46では現在、シングルごとにフォーメーションが決められ、「櫻エイト」と呼ばれる8人がポジション1、2列目を形勢。3列目メンバーの十数人は“BACKSメンバー”として、収録曲ごとに入れ替わる。今回はサードシングル「流れ弾」3列目メンバーの16人が、鬼気迫るパフォーマンスを披露した。

小池美波センターの「ソニア」に始まり、「Nobody's fault」「BAN」そして昨年末の「NHK紅白歌合戦」で披露した「流れ弾」などのシングル曲や、「半信半疑」「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」などの人気カップリング曲も多数披露した。

本来は別のメンバーがセンターを務めている楽曲でも、「BACKS」メンバーが主に立候補制で代わりにセンターを務めた。原田葵、守屋麗奈、増本綺良、藤吉夏鈴らが、次々とセンターでそれぞれの楽曲で“新たな解釈”とも言うべき印象的なパフォーマンスを披露し、躍動した。

20年に欅坂46から櫻坂46に改名した。シングル「Nobody's fault」で“再デビュー”。欅坂46時代からの世界観やメッセージ性は残しつつ、新たに女性らしい“咲き誇る”ような美しさも兼ね備えたパフォーマンスでファンを魅了したが、15年の結成から4年間築き上げた「欅坂46」の知名度をいったん捨ててのリスタートは容易ではなかった。

“再デビュー”から約半年後の昨年6月。初開催された「BACKS LIVE!!」は大きな契機となった。関係者やメンバー、オンライン視聴した出版社編集者らも、異口同音に「グループが強くなったと思う」と話した。櫻坂46は沈むことなく、勢いを持続した。改名の話題性だけではなく、単純にグループとしての実力も評価されての2年連続となる「NHK紅白歌合戦」出場は、1つの大きな結果だろう。

たとえば同じ「坂道」グループでは、乃木坂46がシングル表題曲選抜以外のメンバーによる「アンダーライブ」が毎シングルの恒例となっている。ライブごとにアンダー楽曲のセンターが座長を務め、独特の熱量が根強いファンを呼び続けている。選抜メンバーだけではない乃木坂46の「層の厚さ」の源となっているステージと言って過言ではないだろう。

乃木坂46の「アンダー」と櫻坂46の「BACKS」は必ずしもイコールではないが、ともに複雑な心境を抱えているメンバーなのかもしれない。特にライブ終盤の、今そこにしかないような“エモい”空気は、唯一無二だ。見ているファンはもちろんだが、メンバー自身にとっても“熱い”ライブであることは間違いない。

今回の「BACKS LIVE!!」でも、増本と上村莉菜らのトークで、「NHK紅白歌合戦」から間もない1月2日からレッスンスタジオが開放され、複数のメンバーが正月休み返上で自主トレを積んでいたことが明かされた。20年2月に加入し、グループ内で最も後輩にあたる遠藤光莉が、「『櫻エイト』のメンバーを、少しでも焦らせることができればと思って」と話す映像が流れた。客席から熱い視線を送っていた「櫻エイト」のメンバーも、込み上げるものがあったようだ。

2日目公演終盤で「流れ弾」のセンターを務めた小池は、「今回のライブは『BACKS LIVE!!』という名前なんですけど、私は櫻坂46のライブとして観てほしいなと思っていて」と言って、声を詰まらせた。「『櫻エイト』とか『BACKS』という名前はあるかもしれないですけど、みんなすごく輝いているし、すごく魅力があるから。それが伝わってほしいという気持ちで挑んでいたし、『BACKS』自体のイメージが変わったらいいなと思っています」と涙目で伝えた。

言葉でグループの「層が厚い」「底上げ」と書くのは簡単だが、そこにはメンバーそれぞれの努力があり、熱い思いがある。「BACKS LIVE!!」は間違いなく櫻坂46のライブで、むしろ櫻坂46を代表するライブになるかもしれない。そして「BACKS LIVE!!」によって、櫻坂46はさらに強くなる。【横山慧】