俳優森山未來(41)と青木柚(25)が27日、都内のNHKで、同局の特集ドラマ「笹まくら」(8月8日午後9時、NHK・BS)の取材会に参加した。同作は戦時中、徴兵忌避の道を選んだ主人公浜田庄吉を描いた物語。丸谷才一が60年前に発表した原作を、秋之桜子が脚本を担当し、森山が主演、青木が若き日の浜田役を演じる。森山は冒頭のあいさつで「いつでも、時代というものは混沌(こんとん)としていると思いますが、ことさら混沌としている今、この現状において、この作品に関わることに、非常に意義を感じております」と、かみしめながら話した。
青木は「この『笹まくら』に限らず、芝居をする時、何が合っているのか、自分では確実には分からないことがあります。今回、浜田庄吉を演じるにあたって、より想像しながらの日々だったなというのが強い印象です。最後の最後まで『徴兵を忌避した人は、こういう過ごし方をしたのだろうか』とか『こういう時、どうしていたのだろうか』というのを、本当に頭が痛くなるぐらい毎日、考えていましたし、自分の気持ちを吐露するようなシーンも、あまりなかったので、すごく…。何ていうか、今までにない体験でした」と、難しい役を演じた日々を思い出しながら話した。
森山は今作の出演オファーを受けた当時を振り返った。「最初に、このお話をいただいて、台本を読んで、小説を読んだんですけど、徴兵忌避をした人間が、その時代、時代で、どう扱われるのか。これも変わってくる。戦前、戦中、戦後。そして高度経済成長。時代の移り変わりによって、徴兵忌避をした人は、犯罪者にもなっているし、英雄にもなっているし、また犯罪者扱いされるという。『勝てば官軍』じゃないですけど、その時、その時で、存在とか正義とか、そういうものは揺らぎますし。何が悪で、何が善か、みたいなものは、自分だけの思考では、どうにもならない形で、定義づけられてしまう瞬間って、あると思っています。徴兵忌避が良かったことなのか、悪かったことなのか。間違っている、正しいというジャッジを僕はすることはないです。何が正しくて、何が正しくないかは、その時代、時代で、どんどんひっくり返ってしまう」。戦後、高度経済成長期に大学職員を務める浜田を、日々、考え、悩みながら演じきった。
森山は一つ一つの質問に丁寧に、時には答え始めるまでに30秒近くも間を置き、熟考してから回答した。それでも終盤には、隣に座る青木に「重たい話ばかりになっちゃうね(笑い)」と語りかけ、青木の緊張をほぐす気遣いを見せた。今作を見てほしい対象を問われた2人は「みんなです」と同じ回答。徴兵忌避という、これまでにあまりない切り口だけではなく、世界中で戦争が繰り返される今だからこそ、見てほしい作品との思いは一致していた。



