第94回アカデミー賞の候補が8日発表され、濱口竜介監督(43)の「ドライブ・マイ・カー」が作品賞、脚色賞(共同脚本の大江崇允氏も)監督賞、国際長編映画賞の計4部門にノミネートされた。

作品賞と脚色賞のノミネートは邦画初。「ウエスト・サイド・ストーリー」(11日公開)で作品賞、監督賞など7部門にノミネートされた、米国のスティーブン・スピルバーグ監督(75)ら世界的な監督とオスカーを争う。授賞式は3月27日(日本時間同28日)に米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われる。

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世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭で邦画初の脚本賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」が、1928年(昭3)に始まった米アカデミー賞の歴史においても、邦画として未踏の領域に踏み込んだ。作品賞を受賞すれば、20年に非英語作品として初の作品賞をはじめ監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4冠を獲得した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)以来、アジア映画としては2年ぶり2度目の快挙。脚色賞にも邦画で初めてノミネートされた。

監督賞に日本人監督がノミネートされるのも1966年(昭41)「砂の女」の勅使河原宏監督、86年「乱」の黒澤明監督以来36年ぶり3人目。国際長編映画賞への邦画のノミネートも19年の「万引き家族」(是枝裕和監督)以来3年ぶり。受賞すれば09年の「おくりびと」(滝田洋二郎監督)以来13年ぶりと、記録ずくめのノミネートとなった。

作品賞10作品の中でも、監督賞にもノミネートされた4監督は強敵だ。61年に映画化された米ブロードウェーのミュージカルの名作を現代にリメークした「ウエスト・サイド・ストーリー」のスピルバーグ監督は過去、作品賞1回、監督賞を2回受賞。自身の半自伝的作品「ベルファスト」で監督、脚本を務めたケネス・ブラナーは、20年の米映画「TENET テネット」に出演した世界的名優。「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のジェーン・カンピオン監督は、93年の「ピアノ・レッスン」で女性初のカンヌ映画祭最高賞パルムドールを受賞し、アカデミー賞でも脚本賞を受賞。「リコリス・ピザ」のポール・トーマス・アンダーソン監督も世界3大映画祭の常連だ。

主演の西島秀俊(50)は「世界の分断から人々がつながりを取り戻す希望の道標が、この美しい魂の再生の物語には示されています」とコメント。三浦透子(25)も「日本映画の代表としてアカデミーの舞台に臨めること、本当に名誉なことと思います」とオスカーへの挑戦権獲得を喜んだ。

 

◆アカデミー賞作品賞候補

「ウエスト・サイド・ストーリー」(スティーブン・スピルバーグ監督)

「コーダ あいのうた」(シアン・ヘダー監督)

「DUNE/デューン 砂の惑星」(ドゥニ・ビルヌーブ監督)

「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)

「ドリームプラン」(レイナルド・マーカス・グリーン監督)

「ドント・ルック・アップ」(アダム・マッケイ監督)

「ナイトメア・アリー」(ギレルモ・デル・トロ監督)

「ベルファスト」(ケネス・ブラナー監督)

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(ジェーン・カンピオン監督)

「リコリス・ピザ」(ポール・トーマス・アンダーソン監督)