大阪市北区のMBSテレビは11日、今年元日に関西ローカルで放送したトーク番組「東野&吉田のほっとけない人」に、日本維新の会元代表の橋下徹氏と同代表の松井一郎大阪市長、同副代表の吉村洋文大阪府知事がそろってゲスト出演し、政治的公平性への問題点が指摘されていた件で、番組審議会へ報告したと発表した。

同局の虫明洋一社長ら幹部複数、各部局責任者らが出席。同局は「制作側が高視聴率も意識し、積極的に行ったことがうかがえた」「番組制作の過程で、担当者の政治的公平性に対する認識が甘く、番組内でのバランスの取り方が極めて不十分だった」などとし、1月に立ち上げた専務をリーダーとする局内調査チームにより、明確になった問題点を報告した。

番組制作側の総合編成局総合編成部は、政治的公平性への意識はあったが「内容について本来の調整機能を十分に果たせていなかった」とし、同局では表現や用語のチェックにとどまり、番組全体の確認を網羅するまでの機能が果たされていなかったと陳謝した。

番組テロップでは、松井市長が「日本維新の会代表」、吉村知事は「副代表」として紹介され、橋下氏は今でこそ「維新の元政治家」でタレント活動も行うが、そもそも維新を立ち上げた「顔」である。番組担当チーフも「(肩書に)驚いた。市長と知事に出演してもらうという認識だった。政党の党首として出演してもらうのであれば、バランスを取らなければいけない」と反省した。

出演交渉を受諾した報道情報局は「番組内容に疑問を感じた」と言いつつも、番組は制作・編成現場が担うもので「当事者意識が持てなかった」とし、同局長は「制作・編成が視聴率をねらいにいった番組であり、報道情報局としては問題と思うものの、収録したものを放送しないのは難しいと思っていた」などと報告した。

同局では、本来の制作者の意図を「関西の視聴者の関心が高いゲストをお招きして、その方々の素顔を引き出すトークバラエティー番組」と説明し、それゆえ橋下氏、松井氏、吉村氏の出演を企画したという。

検証について「問題はその先で、おもしろさを狙って演出した飾り気のないトークが『政治的に偏っていると映るのではないか』と制作部門や編成部門で想像し、意見し、議論しなかったということにある」などとまとめ、組織として反省し、改善への取り組みを行うとした。