タレント小堺一機(66)が、24日に初日を迎える、俳優でお笑いコンビあさりどの川本成(48)が主宰する劇団「時速246億」の舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム・ファイナル」(東京・新宿「シアターサンモール」)に出演する。2016年(平28)に初演で再演、続編、そして配信で上演された人気シリーズのファイナル。師匠・萩本欽一(81)の欽ちゃんファミリーの弟弟子の川本のラブコールに応えた。このほど、小堺と川本が日刊スポーツの取材に応じた。【小谷野俊哉】

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浅井企画に入った小堺は、テレビ番組の前説の仕事をこなしながら、テレビ朝日系のバラエティー「欽ちゃんのどこまでやるの!(欽どこ)」に出演するようになっていた。

小堺「27歳の時に『欽どこ』と平行して、日曜日の正午にフジテレビ系の『ドレミファドン!』の裏番組でTBSの『ザ・ヒットステージ』っていう番組の司会をやらせてもらいました。工藤夕貴ちゃんが、まだ子役で一緒に出ていました。僕は司会なんですけど、歌手とは関わらない形でやりたいって言ったんです。それで、家で家族がそろって歌番組を見ている設定にして『次は、なんとかさんだよ』って紹介していたんです。それで、子供の工藤夕貴ちゃんや、そのお兄さん役の子が好き勝手なことを言う。『セットが前と同じ』だとかやっていたんです。そういう僕の発想を通してくれたんですね。まだ、テレビも数字(視聴率)にこだわらず、お金の余裕があった。それまでは関根(勤)さんと下北沢のライブハウスで、お客さん3人しかいないとこでやってたりしていました。そして大将(萩本欽一)に会いに行ったんです」

関根とは、後に「欽どこ」の「クロ子とグレ子」でコンビで大ブームを起こす。

小堺「最初に僕が『欽どこ』に呼んでもらって、1年後に関根さんが呼ばれました。ちょうど通信販売がはやり始めていて、通信販売のネタがあったんですよ。僕が『飛騨の職人が鉄板から打ち出したやかんです』っていう感じで。あの頃、包丁に名前を掘ってとかいうのがはやっていて、それのパロディーをやっていたんです。オーディションだったのか分からないけど、『欽どこ』のけいこ場に呼ばれて『どういうことができんの』って聞かれて、それをやったらビギナーズラックでドッカーンと、もうスタッフから何からウケて。もう来週からっていうことになって、大将が『じゃあ、お前はあれだ。うちに(やかんを)売りに来るやつな』って言って。もう舞い上がっちゃって、それで稽古して、いざ初日になると大将が稽古と全然違うこと言うんですよ。今思うと、その方が面白いんだけど、アドリブで返すのにあがっちゃって、やかんがカタカタいうくらい震えちゃったんです」

「欽どこ」抜てきに張り切る小堺に対し、師匠・萩本は稽古と違うアドリブの洗礼を見舞った。

小堺「ああ、もうこれで俺はクビだなと思って。そんなうまい話は、あるわけねぇよなと思ってたんです。ただ大将が『なんであがっちゃうんだよ』って。『すいません』って言ったら『俺、あがんないやつは信用しないから』って。で、その頃にレギュラーだった(斎藤)清六さん(の人気)に火が付いてきて。それまでは、清六さんがクロ子をやってたんだけど、ご自分のコーナーが出来て、じゃあ、お前が次のクロ子だと。それで『お前すぐあがっちゃうから“中説”やってごらんよ』と。『その方が気が楽だろう』って。『面白かったら放送してやるから』と。そこでずっとやっていたら、結構なじんできて発見もありました。あったんだけど、僕、別に自分のしゃべりが面白いと思っていなかったんですけど、しゃべりのネタを作んなきゃいけないと思ったんです。いわゆる『今日、電車に乗ったら、こんな人いたんですよね』っていう、今はみんながやるようなしゃべりは、仕事でしちゃいけないと思ってたんですよ。で、もうネタなくなっちゃった時に、それをしゃべったら『そういうのでいいんだよ』って言われて『お前が見たことを話せばいいんだよ』って。それだったら、いっぱいあるんですよ。それで気楽にしゃべってたら、結構使ってくれるようになったんです」。(続く)

 

◆小堺一機(こさかい・かずき)1956年(昭31)1月3日、千葉県生まれ。77年、TBS系「ぎんざNOW!」の素人コメディアン道場で優勝。専大卒業後、勝アカデミーを経て、80年浅井企画。82年テレビ朝日系「欽ちゃんのどこまでやるの!?」での関根勤とのコンビ「クロ子とグレ子」でブレーク。84年10月からフジテレビ系のトークバラエティー「ライオンのいただきます」の司会に抜てきされ、16年(平28)3月の「ライオンのごきげんよう」終了まで31年半務めた。現在、BSJapanext「アプリで生判定!地域創生プレゼンバトル」、J:COMチャンネル「ジモトに乾杯!居酒屋小堺クン」、JFN「おうちで~CINEMA~」など。バラエティー、ドラマ、舞台、ラジオなど幅広く活躍。165センチ。血液型A。

◆川本成(かわもと・なる)1974年(昭49)7月13日、鳥取県生まれ。91年(平3)4月、萩本欽一主宰「欽ちゃん劇団1期生」合格。94年に堀口文宏と「あさりど」結成。94年から3年間、9代目いいとも青年隊としてフジテレビ系「笑っていいとも」出演。07年から劇団「時速246」を主宰、10年に「時速246億」に改名。16年舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム」主演。18年舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム2018」「バック・トゥ・ザ・ホーム2」。20年配信で舞台「バック・トゥ・ザ・ホーム・ハーフ」。趣味は楽器いじり、古着収集、プロレス。168センチ、血液型O。