27日夜から放送した日本テレビ系「24時間テレビ45」が28日、フィナーレを迎えた。メインパーソナリティーのYouTubeチャンネル「ジャにのちゃんねる」のメンバー、嵐二宮和也(39)ら4人を中心に盛り上げ、100キロマラソンに挑戦したEXITの兼近大樹(31)も完走。年内でコンサート活動を終了する加山雄三(85)は自身作曲の番組テーマソング「サライ」の同番組ラスト歌唱も行い、3年ぶりの有観客、45度目の放送となった番組は晴れやかに幕を閉じた。 【松尾幸之介】

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加山も笑顔で同番組ラストランを終えた。エンディングでは出演者ら全員に囲まれながら「サライ」を合唱。谷村の肩を抱きながら歌いきり「感無量だよ」と万感の思いを語った。

28日午後4時ごろにも、会場となった東京・両国国技館のステージに単独で立った。「旅人よ」(66年)と「君といつまでも」(65年)の2曲を披露後、「サライ」を作詞した谷村新司もステージへ。肩を組み、同曲を2人でデュエットした。涙する谷村とは対照的に、喝采の中でも和やかな表情を崩さなかった。

同曲は「24時間テレビ」の第15回目(92年)の放送を記念して制作し、約30年にわたって番組を彩る楽曲として歌われてきた。加山は「最高ですね。みなさんが手を振ってくれて。こっちも一生懸命歌おうと思って頑張ったよ」と振り返った。番組内では今回のメインパーソナリティーの1人、嵐二宮和也との対談も放送された。長く愛される「サライ」について「こんなうれしいことはないよ。自分の分身のようなものだから。幸せだね」と喜んだ。  コンサート活動は終えるが、今でも新曲制作に精を出すなど音楽への情熱は尽きない。19年に腰の圧迫骨折や脳梗塞、20年には誤嚥(ごえん)から脳内出血を発症するなどしたが懸命なリハビリで復帰。二宮との対談の中で、再び歌える状態まで復活できたことが今回の決断の背景にあると説明し「どこかでケリをつけないといけないなと。歌えたから、これは最後を飾らなくちゃなという気持ちが生まれました」と思いを明かした。まずは一区切り。年末のラスト公演まで、全力で走りきる。

○…78年の初回放送から番組を見届けてきた番組サポーターの徳光和夫(81)は、加山の番組ラストパフォーマンスに感無量の思いを語った。心境について「まさに24時間テレビで生まれた『サライ』のラストステージを国技館で…。一言では言い表せない」といい、歌唱後には「あらためて良い歌ですね」と言葉をかけた。これには加山と谷村も「いい歌だよね」とお互いに顔を見合わせて笑顔をみせた。

◆サライ 日本テレビ系「24時間テレビ」の第15回目(92年)の放送を記念して制作された楽曲。視聴者から集めた愛のメッセージをもとに谷村新司が作詞、加山雄三(筆名である弾厚作名義)が作曲を務めた。サライはペルシャ語で「家」などを意味する言葉で、楽曲テーマのひとつである「心のふるさと」とも結びつけている。「24時間テレビ」では楽曲制作以降、30年間にわたり、主に終盤に谷村、加山と出演者らで同曲を大合唱することが恒例となっている。