芸能人の不祥事が発生した時、世論の批判に敏感なのがCMだ。イメージアップのために多額を投入する経済活動なのに、出演者へのバッシングは、マイナスプロモーションになりかねない。トヨタ自動車も先月26日、香川照之がTBS系「THE TIME,」で真摯(しんし)に謝罪した直後には、今後を注視するとしていた。
ところが1日発売「週刊新潮」が続報で銀座のママの髪の毛をつかんでいるとされる写真を掲載。同「週刊文春」も18年のTBS系ドラマの懇親会での女性スタッフの頭部を殴打したなどと報じた。トヨタ側が、守り切れないと判断した可能性もうかがえる。
さらに、香川のCM出演は自社メディア「トヨタイムズ」の編集長という立場。広報媒体ではあるが、テレビ朝日を退社してトヨタ自動車入りした富川悠太元アナはジャーナリストを名乗る。既存メディアを意識して設立したとの評論もあり、香川に甘い顔を見せることはできなかったとも感じる。
CMに続き不祥事にセンシティブなのがテレビ番組だ。映画や演劇、公演といった直接の支払いを受けるエンタメとは違い、民放番組はCMで成り立つためこれもスポンサーへの抗議に弱い。その上、報道・情報番組のキャスターは、特に高い倫理性を求められる。番組ではさまざまなニュースを扱い、批判もするわけだから、報じる側が襟を正すのは当然のこと。TBSとしても降板のジャッジをくださざるを得なかったとみられる。
もっとも、同局系ドラマ「半沢直樹」「99.9-刑事専門弁護士」のヒットに香川が大きく貢献したのも事実。歌舞伎にも出演し、役者としての存在感の大きさは誰もが認めるところだ。ボクシング評論や、昆虫をモチーフとした子ども向けアパレルブランドの経営など幅の広さも魅力だっただけに、そうして確立したイメージに傷がつくことになった今回の不祥事は、残念でならない。【竹村章】



