女優の石田ゆり子(52)が10月26日に初のミニアルバム「リトルソング」を発売。11月には初のライブ出演も決まった。

この挑戦に際して、石田は「何もかもが初めてづくしで、ドキドキが止まりません。今から緊張で倒れそうです」と話している。いまだに仕事に新鮮な驚きや喜びを持ち続けているようだ。若々しい。「奇跡のアラフィフ」と呼ばれるゆえんだろう。

一方で、デビュー当時の石田にはむしろ落ち着いた、大人びた印象を持った記憶がある。34年前、当時18歳の石田にインタビューした時の記事を見返してみた。

森田芳光監督の「悲しい色やねん」に出演し、映画デビューを目前に控えた時期だ。

「NGを20回連発したこともありました。何でダメなのかさえ、分からないです。情けないです。でも、撮影期間、眠れないほど悩んだかというと、これが12時間くらいぐっすりなんですからまた情けないというか。それで、この間ラッシュ(部分試写)を見まして、自分じゃないような表情が出てきて、あっ、監督のおっしゃっていたことは、こういうことだったんだなって、1人でうなずいてしまいました」

ところどころに今につながる「天然ぶり」が見え隠れするが、その話しぶりには字面からはうかがいしれない印象を持った。当時の記事には「穏やかに言葉を選ぶ話し方にはプラス10歳の落ち着きを感じる。優しい目線をよく動く太い眉がカバーして、時折意志的な顔になる」と書いている。

父親が貿易会社で働いていた関係から、台湾で中学時代を過ごし、そこで長時間睡眠の習慣を身に付けたことや、失恋を体験したことも話してくれた。

帰国後、芸能事務所に入ったことをきっかけに定時制高校に変わった彼女は「いろんな世代の人がいて楽しいです。人と同じコースを歩まなくても大丈夫って、実感できて、落ち着きますね」。

マイペース型に見えるが、新しい環境への高い順応性や何事も前向きに受け止める吸収力が当時から備わっていたようだ。アラフィフになっても輝き続ける一種の才能は、18歳の頃からその片りんを見せていた。【相原斎】