東映は29日、12月4日に閉館する東京・渋谷区の直営劇場・渋谷TOEIの閉館後のフロア展開について、23年4月10日から休館するBunkamuraル・シネマが、同年初夏から「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」として営業を開始することが決定したと発表した。

93年に営業を開始し、渋谷TOEIも所在する11階建ての商業ビル「渋谷東映プラザ」がテナントビルとして営業を継続することは、渋谷TOEI閉館を発表した10月19日に、併せて発表していた。またBunkamuraル・シネマは、27年度中までの休館(時期未定)が決まっている。

また、閉館する12月4日に「さよなら渋谷TOEI」と題したラスト特別上映を行うと発表していたが、前日3日に追加イベントも決定。同日午前11時から、22年のアニメ映画「映画デリシャスパーティハートプリキュア 夢みるハートお子さまランチ!」スタッフトークイベント付き上映会が行われる。上映前に、座古明史監督、脚本の田中仁氏、村瀬亜季、多田香奈子両プロデューサーも登壇。映画プリキュアシリーズの歴史の中で、数多くのイベントを開催してきた渋谷TOEI最後のスタッフトークイベントとなることを記念し、上映会のみの入場者プレゼント「ドリーミアリング」を子どもだけでなく、一般の観客にも特別配布。ロビーには、シリーズ全31作品のポスターも掲出する。

閉館日の12月4日は、午前11時30分から「鉄道員(ぽっぽや)」(上映時間112分)午後6時から「バトル・ロワイアル」(上映時間114分)を、入場料金500円均一で上映する。座席指定券は、オンラインは12月2日午前0時、劇場窓口では同11時から、それぞれ発売を開始する。ロビーには、両作品にまつわる記念品も展示。「鉄道員(ぽっぽや)」は、毎日映画コンクール日本映画大賞トロフィーと日刊スポーツ映画大賞作品賞表彰楯、舞台となった幌舞駅の模型を展示。「バトル・ロワイアル」は、毎日映画コンクール日本映画優秀賞トロフィー、東京スポーツ映画大賞作品賞トロフィー、劇中の男子生徒役衣裳(制服上下、首輪)を展示。加えて脚本・製作を担当した深作健太監督が、メインスタッフとともに駆けつけることも決まった。

渋谷TOEIは、1953年(昭28)11月18日に宮益坂下に渋谷東映、渋谷東映地下として開業した、東映の直営劇場第1号。10月19日に、12月4日の営業をもって69年の歴史にピリオドを打つと発表すると、「渋谷TOEI」がツイッターのトレンドワードで1位になるなど、閉館を惜しむ声が高まった。そこで、日頃からシニア層から上映リクエストの要望が多い、高倉健さん主演の1999年(平11)の「鉄道員(ぽっぽや)」(降旗康男監督)と、渋谷TOEIが全国直営劇場の中で興行収入1位を稼ぎ出した、深作欣二監督の00年「バトル・ロワイアル」が、ラスト上映作品に選ばれた。

渋谷TOEIの閉館後、東映の直営劇場は東京・丸の内TOEIのみとなる。