アイドル歌手やタレントとして活躍した高見知佳(たかみ・ちか、本名高橋房代=たかはし・ふさよ)さんが21日午後、がん性腹膜炎のため、愛媛県新居浜市で亡くなった。60歳。今年7月の参院選では、愛媛選挙区から立憲民主党の推薦を受け立候補も落選。次の選挙に向けて活動していた矢先だった。芸能人時代は「くちびるヌード」などのヒット曲で知られ、明るいキャラクターでバラエティー番組でも活躍した。

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高見知佳さんが亡くなった。1歳年上の記者にとっては、まさしく青春を彩る人だった。作詞・橋本淳、作曲・筒美京平、編曲・船山基紀というトリオによる、日本のアイドル歌謡史上に残る名曲のデビュー曲「シンデレラ」を、東京・赤坂のTBSホールから土曜の夜に生放送していたTBSラジオ「ヤングタウン東京」で見たのが懐かしい。ミニのサンタクロース姿がかわいかった。

俳優山城新伍さん(09年に70歳で死去)が司会のフジテレビ系クイズバラエティー「アイ・アイゲーム」(79~85年)で、大人のタレントに交じって解答者を務めていた。流行語になった「チョメチョメ」などの下ネタにも臆することなくアッケラカンと対応していた。後の井森美幸、山瀬まみらに先駆けた、バラドル=バラエティーアイドルのはしりだった。

写真誌に年上男性とのツーショットを撮られても、堂々と会見して「エッチな仲ではありません」と笑いながら否定するなど度胸のいいところを見せた。かわいいだけのアイドルとは違う、芯の強さだった。

日本テレビ系の平日夕方の情報番組「追跡」では後の東京都知事、青島幸男さんとコンビを組んで司会を務めた。「あ、さて~」が流行語になった“おもしろまじめ”の小林完吾アナウンサーも出演した、ストレートニュースとはひと味違う生放送。アイドル時代とは違った、聡明(そうめい)さを感じさせる勘の良さを見せてくれた。

結婚、離婚をへて沖縄で暮らしていたが、今年7月の参院選に出馬して驚かされた。ご冥福をお祈りします。【小谷野俊哉】