ロックバンド、シーナ&ロケッツのリーダーでギタリストの鮎川誠(あゆかわ・まこと=本名同じ)さんが29日午前5時47分、膵臓(すいぞう)がんのため亡くなった。74歳。所属事務所が30日、発表した。昨年5月にがんが発覚し、余命5カ月程という宣告を受けたが、本人の強い思いで公表しなかったという。2月4日に東京・代沢の森巌寺(しんがんじ)開山堂で「ロック葬」を執り行う。喪主は長女でモデルの陽子(46)。
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ステージでも取材でも決してスタイルを変えないいちずな人だった。
デビュー来変わらないコテコテの九州弁は、時に聞き取りにくかったが、サングラスを外さなくても、いつも正直な気持ちが伝わってきた。傍らにシーナさんがいればラブラブを隠さない。それがちっとも嫌みな感じにならなかった。
ギターも69年製のギブソン・レスポール・カスタムを半世紀近く使い続けていた。1本のギターの使用年数はギネス級だ。住まいも上京以来ずっと下北沢。91年から始まった「下北沢音楽祭」ではその鮎川さんのギターがモチーフになり、商店街に掲げられている。
とがったロック歌手にしては大手企業CMが多かったのは、そんな独特の安定感があったからだと思う。
シーナ&ロケッツはもちろん、YMOのツアーに帯同したり、忌野清志郎のステージにゲスト出演したり…いろんな場面を思い出すが、頭に浮かぶ鮎川さんのシルエットは変わらない。そんな不思議な人だった。【相原斎】