スピードワゴン小沢一敬(49)が9日、都内でドキュメンタリー映画「日の丸~寺山修司40年目の挑発~」(佐井大紀監督、24日公開)の公開直前イベントに出席した。

1967年(昭42)2月9日にTBSでドキュメンタリー番組「日の丸」が放送されると抗議が殺到。閣議でも偏向番組、日の丸への侮辱として問題視され、郵政省(当時)がTBSを調査するに至った問題作。時代の寵児(ちょうじ)・劇作家の寺山さんが構成を担当。街ゆく人に「日の丸の赤は何を意味しますか?」「あなたに外国人の友だちはいますか?」「もし戦争になったらその人と戦えますか?」などと、淡々と挑発的な質問を敢行した番組だった。

今作は、佐井大紀監督(28)が「現代に同じ質問をしたら、果たして?」という思いから、67年と22年を対比することにより、今の日本の姿を浮かび上がらせた作品。

寺山さんの大ファンという小沢は「僕の中での寺山さんは軽やかな人ですが、このようなヘビーな題材を扱ったのは、世の中への実験をしたかったり、挑戦をしたかったのかなと思う。いつも違った視点を示唆してくれる人なので、視点を変えると、おもしろいものがあるよという気づきを与えてくれる」と語った。

「日の丸」は当時、ドキュメンタリー枠で放送された。佐井監督は「岡本太郎とか藤子不二雄といった人物者の中で、ある日突然、この日の丸が放送された。やばいというか、よく会社が許したなと。狂気であると思うとともに、先輩たちはかっこいいなと思いました」。67年は建国記念の日が初めて施行された年で、64年東京五輪と70年大阪万博の間だった。22年も同じ中間の年であることから、今回のドキュメンタリー映画を思い付いたという。

「日の丸」は寺山さんが、感情を盛り込まず、取材相手とコミュニケーションを取らない無機質なインタビュー形式を採用している。佐井監督は「感情の交換が生まれないからこそ、本音が生まれ、それを紡いでいくのが番組のテーマでした。今作でもその方式を順守しようと心がけました」。作品については「センシティブであまり語ろうとしないテーマです。それだけに、寺山さんの軽やかさではないですが、酒のさかなとして、日の丸とか日本という国家を語りあうきっかけになってくれればうれしいです」と話した。