公益社団法人日本動物園水族館協会(日動水)は27日、公式ホームページで、24日放送の日本テレビ系「スッキリ」(月~金曜午前8時)で、タレントがペンギンの池に落ちるシーンについて那須どうぶつ王国がテレビ局側に厳重抗議したことについて、声明を発表した。

日動水は「日動水がテレビ局等のマスメディアに協力するのは、広く人々に動物たちや命の大切さを知り学んでいただき、さらに生物多様性や地球環境の保全にも関心を向けていただくことを望んでいるからです。それは世界的にも動物園水族館の社会的役割にもなっています」とした上で「今回の番組内容は、そのような目的に合致したものとはとても思えません。動物園の動物に対する安全面や衛生面への配慮が欠落しており、現在、日動水が積極的に取り組んでいるアニマルウエルフェア(動物福祉)にも反していると感じられるからです」と見解を示した。

さらに「笑いやバラエティーは人間社会にとって必要なものでしょう。しかし、動物に対する敬いの気持ちを忘れて単に笑いの対象とするような行為は日動水として認められないものです。上述した動物への多様な配慮がなされていない番組制作に積極的な協力を行う意思は、これまでも今後も日動水ならびに日動水加盟園館にありません」とした。

同問題は、24日の番組内でお笑いコンビ、オードリーの春日俊彰(44)が生中継先の那須どうぶつ王国(栃木県那須町)で、ペンギンのエサやりをしていた際に庭の池に落ちたアクシデントがあり、24日の放送後に那須どうぶつ王国が公式ツイッターで「ペンギンビレッジからの中継について事前打ち合わせに無かった状況で、タレントの方が、ペンギンのいる池に入るシーンが放映されました。当園としては誠に遺憾であり、テレビ局側に厳重に抗議いたしました」と報告。「今後は取材ロケの受け入れについては報道側に動物の尊厳を傷つける様な行為が無いように厳しく対応してまいります」としていた。

同番組は24日夜に、公式ホームページで謝罪。27日放送の同番組の冒頭でも、MCの加藤浩次、森圭介アナウンサー、岩田絵里奈アナウンサーの3人が神妙な面持ちでスタジオに立ち、森アナが動物がいない池に入ることについては打ち合わせをしていたものの「安全面や衛生面に不足した危険な放送となりました。その責任は番組にあります」と謝罪。岩田アナが「あらためて那須どうぶつ王国や視聴者のみなさんに深くおわび申し上げます」と続けた。

加藤もこの件に触れ、王国側との打ち合わせでスタッフが動物に危害が加わらないなら池に落ちてもいいという旨の説明を受けていたと語った。実際の放送では、池にペンギンがいる状態で春日が池に落ちており、加藤は「僕も当日の打ち合わせでしっかりとした打ち合わせを怠っていました。しっかりと話していればどうにかできたかなと。春日にもフリという形で追い込んでしまった。那須どうぶつ王国の方には取材に対して快くOKしてくれた思いをくめずに不快な思いをさせてしまった。視聴者の方も危ない、不快に思ったといういうことが実際にあったと思いますし、そこに関しても謝罪しないといけない。MCとしても配慮が足りませんでした。本当に申し訳ありませんでした」と頭を下げた。