落語家いなせ家半七(いなせや・はんしち)さん(本名国本貴久=くにもと・たかひさ)が11日午前0時40分、膵臓(すいぞう)がんのため亡くなった。16日、落語協会が発表した。64歳。すでに葬儀は親族のみで執り行われた。最後の寄席出演は4月20日の鈴本演芸場だった。

80年に5代目春風亭柳朝に入門、前座名は朝吉。85年に二つ目に昇進し、茶々丸と改名。91年、師匠の死去に伴い小朝門下へ。96年、真打ち昇進し「いなせ家半七」に改名した。

小朝は公式ブログで、半七さんの死去を報告、「後輩からはとても慕われておりましたし、うちのスタッフもみんな彼のことが大好きでした ひと言でいうなら、優しくていい奴。信用できる男です」と記した。また、今年秋までに寄席の主任(トリ)を務める話もあったとし、小朝は「実現できなかったのが心残りです」と悼んだ。

小朝によると、半七さんは一時政治家を目指していたこともあり、断念した後は温泉博士として全国の温泉をめぐっていたという。