日本を代表する世界的ジャズサックス奏者のMALTA(73)が、後継者育成を目指し「MALTA音楽学校」を開校する。出身地で、現在の活動の拠点でもある、鳥取県米子市文化ホールに9月17日に開校するもの。

日本デビュー40周年を迎えたMALTAは「40周年は出身地に恩返しをしたい」とし、学長にも就任。米子市の有力者48人が発起人となって「MALTAサポーターズ・クラブ」も結成されこのほど、同市の国際ファミリープラザ内で旗揚げのキックオフパーティーが行われた。

MALTAは東京芸大から米バークリー音楽大に進み、同校では教壇に立ってきた。83年に日本でデビュー。これまで、数々のヒット曲を生み出し、日本レコード協会が始めた「第1回日本ゴールドディスク大賞」では「最優秀ジャズ・フュージョン部門賞」を受賞している。

これまで「SWEET MAGIC」「SUMMER DREAMIN’」「SPARKLING」をはじめ、「HIGH PRESSURE」など、数多くのヒット作品を生み出してきた。その多くが今でもテレビCMやテレビ番組のオープニング、挿入曲として各方面で使われている。「日本人ジャズ・サックス奏者として成功した1人」と関係者の間では高く評価されている。

その一方、NHK総合「ヤングスタジオ101」ではMCを務め、フジテレビ系「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」でも、山田邦子率いる「やまだかつてないバンド」のメンバーとしてレギュラー出演。番組内で結成したユニット「やまだかつてないWink」の楽曲「“T”intersection~あなたに戻れない=~」などを書き下ろしてきた。

ある関係者は「とかく専門的になりやすいジャズを、わかりやすいメロディーでポピュラーな音楽にした功績は大きい」と話す。

今も精力的にライブ活動を続けており、「ジャズは社会から生まれ、社会を作った」が持論だ。音楽活動の拠点としている米子市にサックス奏者の育成を基本とする本格的なジャズの専門学校として開校するのが「MALTA音楽学校」というわけだ。「これからは次世代に残す音楽活動にも取り組んでいきたい」と話した。

さらに、MALTAの意気込みに賛同したのが米子市民だ。地元の商工会議所やロータリークラブ、ライオンズクラブなどの有力者が「米子市からMALTAジュニアを発掘するチャンス。世界に向けて新しい文化を発信したい」と支援を表明。新たに「MALTAサポーターズ・クラブ」を結成しバックアップする。

MALTAによると「募集はこれから」と言い、年齢の制限はなく「少人数からでもスタートしたい。まずはジャズの魅力、楽しさから入り、サックスを基本に教えていく」と意欲満々だ。バークリー音楽大学で教えてきただけに、本物のジャズが学べそうだ。

MALTAは、原点に戻り心機一転の気持ちで50周年を目指したいと言う。「学校を全国に広げたい。規模が大きくなったら、学長は若くて才能のあるサックス奏者に譲りたいと思っている」と夢は膨らむ。

開校日の9月17日には米子市公会堂ホールで「MALTA祭り」も開催。同ホールは、日本を代表する建築家の村田藤吾氏が「文化の殿堂」として建設。グランドピアノをモチーフにデザインしたと言う建物は「日本の公共建築百選にも選定されている」(地元関係者)。

MALTAは「新たなスタートを切る場所としても最もふさわしい会場だと思った。スペシャルな1日にしたい」。また、9月25日には、東京・六本木のROPPONGI C★LAPSで、ライブも予定している。

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