広島と長崎に投下された原子爆弾の開発において指導者的な役割を果たし「原爆の父」と言われる、米国の物理学者ロバート・オッペンハイマーの人生、実話を描いた、クリストファー・ノーラン監督(53)の米映画「オッペンハイマー」が、日本で24年に公開されることが決まった。配給のビターズ・エンドが7日、発表した。

「オッペンハイマー」は、原爆開発者オッペンハイマーの苦悩を通し、反戦反核を描いた伝記映画で、7月21日に全米公開された。世界の運命を握ると同時に、世界を破滅する危機に直面するという矛盾を抱えた1人の男の知られざる人生を、IMAX撮影による没入感と共に描き出した。ノーラン監督が脚本も手がけ、主演のキリアン・マーフィーほかエミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナーらが出演。7月21日から全米で公開され現在、世界興行収入9億5000万ドル(1425億円)を超える世界的大ヒットを記録。実在の人物を描いた伝記映画作品として歴代NO.1を獲得し、各映画賞における最有力候補と目されている。

一方で、日本での公開は、なかなか決まらなかった。広島、長崎への原爆投下や、その後のシーンは描かれていないが、全米で同日公開の「バービー」のキャラクターの髪形を、キノコ雲に加工した画像などがSNSに投稿されたことに、日本国内で批判が相次いだ。そのことを受けて「バービー」配給元の米ワーナー・ブラザースが謝罪の声明を出す事態となったことなどの影響があったとみられる。

日本公開決定にあたり、配給のビターズ・エンドはコメントを発表した。

「弊社ビターズ・エンドは、クリストファー・ノーラン監督作『オッペンハイマー』を2024年、日本公開いたします。本作が扱う題材が、私たち日本人にとって非常に重要かつ特別な意味を持つものであるため、さまざまな議論と検討の末、日本公開を決定いたしました。作品を観た上で、クリストファー・ノーラン監督の手による、伝統的な作劇手法を超越した唯一無二の映画体験には、大スクリーンでの鑑賞が相応しいと考えております。日本公開の際には観客の皆様ご自身の目で本作を御覧いただけますと幸いです。」