23年11月10日に公開予定だったものの公開延期が相次いでいる、アクション俳優坂口拓(48)主演映画「1%er ワンパーセンター」(山口雄大監督)をめぐり、混乱が続いている。
1日に、2日から上映すると発表していた東京・渋谷の映画館「ユーロスペース」が、スタッフ有志が同日、劇場の公式Xに上映中止、延期を要求する文書を投稿した後、上映の中止を発表。3日夜、北條誠人支配人がXに「『1%er ワンパーセンター』の上映中止について」と題して文書を発表し、1度は上映を決めた判断が「慎重さを欠いた不適切なもの」とした上で「私が判断を誤りました」などと謝罪した。
一連の問題は、園子温監督(62)をめぐり、22年4月4日の「週刊女性PRIME」及び同5日発売の「週刊女性」が、複数の出演女優に性行為を迫ったり性行為に応じれば仕事を与えるなどと説明し、行為に及んだなどと報じたことに端を発する。坂口は同日夜、自身のYouTubeチャンネルに動画を公開し、当該報道について、約10年前に俳優を集めた飲み会を自宅で開催した俳優Tが、参加した女優を後日、園監督に引き合わせた結果、性加害につながったなどと報じた中で触れられた俳優Tが自身であると認めた。その上で「私を含めて若手の役者さんの飲み会を何回か行っていたのは事実です。私としては全く後ろめたいことはなくて、応援したい役者さんを飲み会の場を通じて縁が広がったり、仕事がつながったり、頑張ってくれたらいいなという思いだけでした。飲み会の場でも全員が楽しめるように、嫌な思いをする人がいないようにと注意を払っていたんですけど、このような状態になって後悔しています」となどと謝罪していた。
「1%er ワンパーセンター」は、23年9月に米テキサス州の映画祭「FANTASTIC FEST」で上映されていた。ただ同10月2日に東京・新宿武蔵野館が「11月10日(金)より公開を予定しておりました『1%er』につきましては、諸般の事情により当館での公開を中止させていただくことになりました」と公開中止を発表。同10月6日には配給のアルバトロス・フィルムも「総合的な判断により」公開の延期が発表されていた。
その中で、ユーロスペースは1日に上映すると発表していた。スタッフ有志一同は2日、Xに投稿した文書の中で、上映決定に関わっていないとした上で
「当該作品の主演・坂口拓氏には園子温監督の性加害に加担した疑惑が報じられており、本人は無実を主張しているものの、未だ問題に決着がついていません」と坂口を取り巻く疑惑の経緯を振り返り、「被害に遭った方々への二次加害などを考慮すると、お客様に説明がないままの上映は妥当でなく、スタッフからも延期または中止を求めております」
「今回の一報により、普段からお世話になっている方々に失意の念を抱かせてしまったこと、大変残念に思っております。この事実は消えませんが、当館の信頼回復、また映画上映全体の環境改善に向けて関係者一同一丸となり、ひとつずつできることをやっていく所存でございます」
と謝罪。「こちらのコメントは、劇場責任者に了承を得て投稿いたしました。引き続き関係者一同で協議を進めていきます」としていた。
それを受けて、北條支配人がXに文書を発表。
「『1%er ワンパーセンター』の主演、坂口拓氏が所属する株式会社WiiBERと配給会社から坂口氏の一連の性加害疑惑報道に関し、警察の調査の結果そのような事実がなかったことの説明を受けて上映を決めました。しかし、その判断は慎重さを欠いた不適切なものであったと認めざるをえません。各方面にヒアリングを行うなどの確認、検証を踏まえて上映決定にいたらなかった私が判断を誤りました」
「上映決定の発表後、当館スタッフをふくめ多くのかたがたからご意見をいただきました。『1%er ワンパーセンター』の上映が二次加害を引き起こす可能性があることも認識しました。それらのことを考え、上映中止を決定しました。事実がはっきりしないままでの上映が今は許されないと考えたからです」
と、上映決定の判断を下したことと、その後、その判断を覆した経緯を説明した。その上で
「支配人として判断を誤ったことにより、被害にあわれたかたや支援のかたがた、そして観客のみなさまに多大な心労をおかけしたことを深くお詫びいたします。これからは信頼回復につとめるとともに作品上映が及ぼす影響をより慎重に考えて上映をつづけていきます」
と重ねて謝罪し、上映する作品の選定に関し、熟慮していく考えを示した。
坂口は、自身のX等で発信はしていないが、作品のプロデューサーで所属事務所WiiBERの代表取締役・太田誉志氏が2日に投稿した文書をリポストしている。太田氏は文書の中で
「我々も本作の劇場公開に対し非常に慎重に対応をしておりました。何度も配給会社とも議論を重ね、弊社所属俳優の性加害疑惑への潔白を証明してから、胸を張って劇場公開することが誠意であり、何よりも本作を楽しみにしていただいている皆様100%楽しんでいただくための唯一の方法であると信じておりました。そして我々は、第三者として公的機関である警察の力も借りることで、その潔白を証明してまいりました。そのため、私自身も所属事務所社長として、本作主演俳優は性加害者ではないと結論づけ、その経緯や内容に関しても、劇場に報告させていただきました」
と、坂口が一連の性加害問題について潔白だと結論づけ、その判断を劇場に報告していたと説明した。その上で
「加えて、その過程で、性被害にあった方が複数いるとおっしゃっていた方は、真偽も定かになっていないような情報を発信した事で名誉棄損等で刑事告訴され、現在書類送検中であるということも警察の調査で発覚しました。弊社所属俳優の名誉を守るため、そして”疑惑”段階で生まれてしまう別の形での2次被害者をこれ以上生み出さないための措置も検討しておりました」
「もちろん被害者の方々の心身の痛みには比べられないものと理解しておりますが、事実ではない発信、誹謗中傷に対し、私達も苦しんでおりました。その理由は私達が発言し、私たちが知る事実を公表することで、性被害者の方への2次被害、および支援者の方々への誹謗中傷につながる可能性があると考え、その結果を恐れてお話をすることができませんでした」
と、これまでの経緯を説明した。
そして
「私たちや映画だけでなく、私たちを信じてくださった劇場の皆様や関係者の方への誹謗中傷、誤った解釈や憶測が拡がっていることに対して落胆の気持ちとそれだけはあってはならないという強い責任を感じております。そのため、近日中に弊社所属俳優への疑惑が週刊誌に掲載されてからの度重なる劇場公開の中止と延期の経緯、および開示できる限りの調査内容など、今回の一連の経緯などもお伝えできればと考えております」と、一連の経緯について近日中に報告する意向を示した。
園監督は、1月31日に自身の公式サイト「SIONPRODCTION」を更新。一連の性加害に関する報道について「事実と異なる点が多々あり私の名誉を棄損したとして、週刊女性の発行元である主婦と生活社及び同誌編集長らを被告として、訴訟を提起しておりました」と訴訟を提起していたと改めて説明。その上で「令和5年12月27日、被告がこの2つのインターネット上の記事を全文削除することを受け入れたことから、裁判上の和解により解決いたしましたのでご報告いたします。この和解に従い、すでにこの2つのインターネット上の記事は全文削除されております」などと発表している。