「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」など、日本を代表する少年漫画の第一人者として知られる、漫画家の鳥山明さん(とりやま・あきら=本名同じ)が、3月1日に亡くなった。68歳だった。連載していた「週刊少年ジャンプ」(集英社)の公式サイトで8日、発表された。

鳥山さんは86年に第1作が発売された国民的ロールプレーイングゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズのキャラクターデザインを担当したことでも知られる。鳥山さんをデビューさせた「週刊少年ジャンプ」の元編集者・鳥嶋和彦氏(現白泉社顧問)が誌上の記事や企画を担当したことでゲームにも精通。若手だった、シリーズ生みの親のシナリオライター堀井雄二氏の執筆するゲーム記事を担当したことで縁が結ばれた。堀井氏のオファーを鳥山氏が受け、ゲーム発売時には特集記事も組まれた。

同シリーズでは各作品で主人公や個性にあふれた仲間のキャラが多数登場する。その主役に勝るとも劣らない人気と認知度を誇るのが敵のモンスターキャラクター、特に「スライム」だ。堀井氏は当初、鳥山氏に「ゼリー状のドロドロしたモンスター」とのアイデアとともに、おどろおどろしい外見のラフ画を渡したのは有名な話。ここで鳥山氏は「ゼリー状」のアイデアは生かしつつ、デザイン性と子供がプレーするゲームへの適性などもふまえ、タマネギ型の愛らしい姿が誕生した。

このデザインが大ヒットした。冒険の序盤に登場する最も弱い、いわゆる「ザコキャラ」でありながらゲームの顔として全作品に登場。「はぐれメタル」「ホイミスライム」「キングスライム」など派生モンスターも生まれ、敵キャラでは異例のグッズが作られるはしりとなった。他にもこうもりのような「ドラキー」、古代の伝承をベースにした「ゴーレム」など、敵ながら魅力あふれるキャラを多数輩出し、モンスターを主役とした「ドラゴンクエストモンスターズ」のゲームまで発売された。

堀井氏は追悼コメントで「登場人物のキャラクターデザイン、モンスターデザイン、とても数えきれないほとの魅力的なキャラを描いていただきました。ドラゴンクエストの歴史は、鳥山さんのキャラデザインとともにありました」と最大級の感謝を表現。「鳥山さん、故すぎやま先生は、ドラゴンクエストを長きに渡って作ってきた仲間でした」と語る通り、ゲーム音楽の枠を超えて作品の楽曲を大成させたシリーズの作曲家すぎやまこういち氏(21年死去)とともに、「ドラクエ」の両輪だった。