宮崎駿監督(83)10年ぶりの新作長編アニメーション映画「君たちはどう生きるか」が、長編アニメーション映画賞を受賞した。03年の「千と千尋の神隠し」以来、21年ぶり2度目の受賞となった。
スタジオジブリにとって、03年の「千と千尋の神隠し」以来21年ぶり2度目のオスカーとなった。その間、宮崎監督自身、06年に「ハウルの動く城」、13年には前作「風立ちぬ」がノミネートされたが受賞は逃した。その後も、14年には先輩の高畑勲監督の「かぐや姫の物語」、15年には弟子の米林宏昌監督(現スタジオポノック)の「思い出のマーニー」、19年には「未来のミライ」(細田守監督)がノミネートされたが、いずれも受賞は逃した。宮崎監督自身、14年11月に黒澤明監督以来、日本人2人目の米アカデミー名誉賞を授与されたが、10年ぶり4度目のノミネートで獲得した今回まで、日本のアニメ界においてオスカー獲得はならなかった。21年の時の壁を超えたのは、ジブリだけだった。 受賞を受けて、11日に都内のスタジオジブリで会見を開いた、代表取締役議長を務める鈴木敏夫プロデューサー(75)には勝因、受賞の要因を問う質問が相次いだ。同プロデューサーは「その間にジブリも、いろいろやりました。宮崎もいろいろ作りましたよ。だけど一番、大きかったのは、もしかしたら…ふと、思い付いたんですけど『風立ちぬ』を作ってから10年…新しい作品がないだろうと思ったら出てきた。それが、大きかったんじゃないですかね。そんな気がしていますね。僕の予想はいろいろ超えるんですけど…」と、80代に突入しても新しいものを生み出すことができた、宮崎監督の絶大な創作力だと語った。
加えて、日本を除く海外で展開する配信事業も、今回の授賞の大きな後押しになったと分析した、日本国内においても「風立ちぬ」以来、10年ぶりの新作映画だっただけに、鈴木プロデューサーは「宮崎駿は、テレビでしか見たことがない…。でも映画館で見たら、どうなるんだろう? ということが起こった」と、日本国内での反応を分析した。その上で「ジブリも、日本を除く海外は配信をやって、いろいろな人が見る機会があった。特に米国がすごかった。どうも、この人は面白い…そんなので、米国の人は見てくれてるんじゃないかな?」と、配信全盛の時代において、海外では配信にかじを切った効果があったと強調した。
10年ぶりのノミネート、そして21年ぶり2度目の受賞に、スタジオジブリも湧いた。この日は午前8時前からスタッフが集まり、生中継を見守った。テレビの画面に向かって、祈るように手を合わせる女性スタッフもいた中、午前8時38分に受賞が決まると歓声が沸き起こった。「やった!」「すごい!!」。女性スタッフ5人がうれし涙をぬぐい、男性スタッフも涙した。鈴木プロデューサーは「準備から考えたら10年。スタッフも、どこか疲労が残っている。取るのに、もう少し時間がかかる。丸7年の疲れを取るのに時間がかかる」と語ったが、そうしたスタジオジブリの疲労を根こそぎ取り去る、大きな受賞となった。



