乃木坂46奥田いろは(18)が、上演中のミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(東京・新国立劇場中劇場ほか愛知、大阪公演)でヒロインのジュリエットを演じている。ミュージカルどころか舞台初出演での大役。高い歌唱力とピュアな演技は、ミュージカル界のニューヒロイン候補としての可能性を感じさせた。

22年2月に5期生として乃木坂46に加入。もともと透明感のある歌声に定評があったが、ミュージカル出演を夢見てさらにボイストレーニングも積んでいた。オーディションを経て、ジュリエット役をつかみとった。

もちろん、乃木坂46加入後演技経験ほぼゼロからのスタートで、初舞台の今作では演出家の小池修一郎氏らから厳しく指導されたという。それでも稽古が進むにつれて褒められる機会も増え、前向きに自信をつけている。

劇中のジュリエットは16歳。まったく恋愛を知らないところから運命的にロミオと運命的に出会い、禁断の恋に落ちる。奥田はスレンダーなメンバーが多い乃木坂46の中でも特にきゃしゃな1人で、ドレス姿も可憐(かれん)なお姫さまそのものだった。客席には女性が多く、年齢層もさまざまだったが、終演後には目の肥えたミュージカルファンとおぼしき女性客も「ジュリエットの子、かわいかった~」と漏らしていた。

乃木坂46では、卒業生の生田絵梨花(27)が17年と19年に同作でジュリエットを演じてきた。生田は「レ・ミゼラブル」や「モーツァルト!」などの有名ミュージカルにも立て続けに出演。グループの開拓者の1人であり、ミュージカル界でも知られる存在となった。当時、演劇関係者が「生田さんのおかげで、目に見えて新しい客層が加わった」と喜んでいたものだ。

まだ高校を卒業したばかりの奥田にとって、「ロミオ&ジュリエット」が貴重な経験になるのは間違いない。演劇関係者は「ミュージカルでしっかり歌も演技もできて、お客さんも魅了できるような俳優はそうポンポンとは現れない。我々はいつも、新たなミュージカルスターを探しているんです。奥田さんにもその可能性は十分にある」と期待を寄せた。

余談だが、奥田は8月20日生まれで、乃木坂46では卒業生2人と誕生日が同じだ。白石麻衣(31)と秋元真夏(30)。ともに卒業後も大活躍している1期生のレジェンドだ。

謙虚で実直な人柄で、乃木坂46でも同期や先輩から愛されるように、スタッフや共演者からも親しまれているという。名作「ピーター・パン」主演経験者で、ジュリエット役ダブルキャストの女優吉柳咲良(20)も、奥田バージョンの通し稽古のカーテコンコールで「全くのゼロの状態から始めたいろはが…」と感極まって号泣したという。

東京公演は6月10日まで。同22、23日には愛知・刈谷市総合文化センターで、7月3~15日には大阪・梅田芸術劇場でも上演する。特に奥田にとって梅田芸術劇場は「大好きなミュージカルをやっていた憧れの劇場」だという。ういういしいヒロインが全国の劇場でも輝き、一気にスターへの階段を駆け上がっていくのかもしれない。【横山慧】