妻夫木聡(44)が2日、東京・新宿バルト9で行われた主演映画「宝島」(大友啓史監督)東京キャラバンの壇上で号泣した。戦後の米軍統治下の沖縄を描いた映画を、この日まで全国30カ所を自ら回って届けていった思いを語る中で、沖縄戦で集団自決した親が子を手にかけたことに触れ「親が子を自ら手にかける…そういう現実が80年前まで起きていた。自分も子どもがいますし…ごめんなさい。そんな未来は、絶対に作りたくないですよね」と涙で訴えた。
さらに壇上で、コロナ禍で会えないまま祖母が亡くなったことも明かした。
「じいちゃんが亡くなって、ずっと独りだった。コロナ中で、会いに行きたかったけど、なかなかいけない状況。亡くなった時、お医者さんから『亡くなった時、ふすまには爪痕があった。倒れて亡くなった。苦しんで亡くなられたかな。痛みを我慢して、いらしたかも知れない』と言われた。じいちゃんに会いたかったのかな、寂しかったかなとか…ダメだったけどさ、会いに行きゃ良かったかな…何もできない自分に後悔していた」
それでも「宝島」に主演し「死生観が変わった」という。「ばあちゃんは、じいちゃんに会いに行ったんだな、どうしようもなく会いたかったんだと思えたら、ばあちゃん、また60年くらい頑張って生きたら、また会おうねと思えた」とも口にした。「僕はね、いっぱい『宝』が見つかった。『宝島』で宝を見つけて欲しい」と涙ながらに訴えた。
妻夫木は、5月5日に都内で行われた完成報告会見で宣伝アンバサダー就任を発表し、6月7日に沖縄で始めた全国キャラバンは、初日の19日も埼玉県所沢市まで回り、全国27都市を回ると、その後に新宿バルト9の初日舞台あいさつに登壇。翌20日も千葉、栃木を回っていた。
30カ所目だった壇上で、キャラバンの中で映画を見た観客から「今すぐ、帰って子どもを抱き締めたい」と言われ「素直な気持ちだと思った。僕も、それを聞いて抱き締めたくなった」と、再び親の顔を見せた。「今があるのは当たり前じゃないから。それを伝えるのは、僕らの責務。子どもに何を託せるかは、僕らの責務」とも訴えた。「こういうことを言うと、さらに難しいと思っちゃう人が居るかも知れないけど」と、映画を見るハードルを上げたと反省もした。一方で、「これが『宝島』という映画を作った意味なんだと思ったし、映画、俳優をやっている意味だと思ったし。反戦映画でも戦争映画でもない。自分にとって何が宝か受け取ってもらいたい」と訴えた。
「宝島」は作家・真藤順丈氏の2019年(平31)の直木賞受賞作の実写映画化作品。戦後に米軍統治下に置かれた沖縄で、米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちの姿を描いた。18年6月に刊行された原作が、19年1月16日に直木賞を受賞したことで映像化の構想がより具体的になり、同10月ころに脚本開発がスタート。20年に全世界に拡大したコロナ禍などによる2度の撮影延期などもあったが、24年2月25日にクランクイン。同4月17日の沖縄パートのクランクアップまでロケは41日、行い同27日から都内スタジオ、関東近郊、和歌山ほかで本土撮影パートがクランクイン。同6月9日まで撮影は106日に及び、総製作費は25億円に上った。
妻夫木は、永山瑛太(42)演じる“戦果アギヤー”の英雄・オンの親友グスク演じた。予定外の戦果を手に入れた直後に、こつぜんと消息を絶ったオンの痕跡を、警察官になって追う役どころだ。広瀬すず(27)がオンの恋人ヤマコを演じた。ヤマコは小学校の教師になり、オンの帰りを信じて待ち続ける。窪田正孝(37)が消えたオンの影を追い求めてヤクザになる弟レイを演じた。



