2025年度上半期の個人全体視聴率が発表され、関西地区ではABCテレビが全日帯、ゴールデン帯、プライム帯で視聴率3冠を獲得した。24年度上半期から3半期連続となる。
同局の北中彰編成部長は、朝の情報番組「おはよう朝日です」、プロ野球阪神の中継、報道情報番組「報道ステーション」、バラエティー「ポツンと一軒家」、平日午後11時台の「ナイトinナイト」枠を好調要因に挙げた。
ABCテレビの前に長く視聴率争いをリードしていたのが読売テレビだ。
松田陽三社長は視聴率を巡る現状に「それだけが絶対の指標ではないが、視聴率が高いというのは視聴者の皆さんに支持されている、信頼されている、愛されているという指標。大事にしないといけない」と話した。
同局は春の改編で「ウェークアップ」「あさぱらS」「今田耕司のネタバレMTG」、今回の改編では「ダウンタウンDX」「浜ちゃんが!」「す・またん!」などを終了した。
4月1日に日本テレビ系列の札幌テレビ、中京テレビ、福岡放送と、共同株式移転による認定放送持ち株会社「読売中京FSホールディングス株式会社(略称FYCSHD=フィックスホールディングス)」を発足、経営統合しているが、松田社長は経営統合が改編の波に影響したことを否定。その上で、大橋善光前社長体制下の22年から5年計画で進めてきた、すべての番組のゼロベースでの見直しが「大詰めを迎えている」と説明した。
松田社長は「番組というのは生もので、時代の空気を反映したものだと思う」とし、「す・またん!」を例に「だんだん番組もおとなしいという言い方は変かもしれないが、常識的な内容になってきている気がする」と指摘。
「ここ10年くらい読売テレビは視聴率も好調でした。その結果、どうしても会社全体が守りの姿勢に入っていた感じがします。視聴率維持が一番大事であり、冒険をしない、新しい番組を作らないという雰囲気が出ていたので、リセットしてゼロベースでチャレンジしようということ」と“改革”に踏み込んだ経緯を語った。
視聴率の歴史的事実として、1度3冠を奪取すると10年近くその状況が続くという。実際に、フジテレビや日テレの状況がそうだった。
松田社長が言う。
「いったん、視聴率が落ち始めて、3冠を奪われるとなかなか奪回できない。それはなぜか。いろんな理由がありますが、視聴率がいいとどうしても守りの姿勢に入ってしまう。新しいことになかなかチャレンジできない。それはそうですよね。せっかく視聴率を維持しているのに何で新しいことをして、冒険して、今までの実績をふいにするのか、そこはジレンマが生じる。じりじり下がり始めても、まだそこそこ視聴率があるから、このまま行こうという話になって、どんどん改革が遅れ、新しい番組作りが遅れるというのが過去の事例から見られる。それは怖いなと思う」
視聴者のテレビ離れが続き、PUT(総個人視聴率)が下がっている中で、横並びの視聴率維持ではなく、視聴率の底上げを図ることを目標とした。
長年、同局に貢献したダウンタウンの2番組も終了した。ダウンタウンは11月1日からネット配信サービス「DOWNTOWN+(ダウンタウンプラス)」の開始を発表しており、もう頼ることは難しいかもしれない。
「ダウンタウンDX」の後継として始まった「見取り図の間取り図ミステリー」について、同局の田中雅博コンテンツセンター長は「まだまだ可能性がある。結果に関しては正直、もうひと声というという状況です。今、必死に現場の制作担当者がよりよい番組になるよう随時、ブラッシュアップしている」と苦戦を認めた。
もちろん、新番組がいきなり好結果をもたらすのであれば誰も苦労はしないが、打ち切った番組の後継番組が好調という声もなかなか聞こえてこず、反撃が容易ではないことも明らかだ。
ABCテレビの天下が10年近く続くことになるのか、読売テレビの改革は実を結ぶのか。【阪口孝志】



