伊藤英明(50)と染谷将太(33)が、井筒和幸監督(73)の20年「無頼」以来6年ぶりの監督作「国境」で6度目のタッグを組み、ダブル主演することが4日、分かった。
黒川博行氏(77)の14年直木賞受賞作「破門」で知られる「疫病神シリーズ」の7作中、同氏も不可能と考えた01年の第2作の実写映像化に挑む。2月28日にクランクインし、4月まで関西で大規模ロケを敢行。韓国人俳優も出演し、日韓合作として世界展開も見据える。
「国境」は大阪で任侠(にんきょう)を貫くヤクザ桑原保彦が、だまされた金を取り返すため、腐れ縁の建設コンサルタント二宮啓之を連れて北朝鮮に密入国し“国境破り”で高飛びした詐欺師を追う。桑原を伊藤、二宮を染谷が演じる。
伊藤は、井筒監督作品に参加経験はあるが本格タッグは初めて。アウトローでありながら、悪党をたたきのめすヒーロー性を体現する桑原には伊藤しかいないとの、製作陣からの熱烈なオファーを受けた。「駆け出しだった頃、監督の現場で言われた『兄ちゃんのセリフには血が通ってへんねん』その一言が俳優としての原点になりました。教えを胸に熱を帯びた芝居で挑みたい」と闘志を燃やす。
井筒組初参加の染谷は、突進する桑原を冷ややかに見つめながらも、きちんと背中を支える二宮は染谷だからこそ成り立つ、と満場一致でのキャスティングとなった。「10代の頃から引き込まれた井筒さんの口から自分の名前が出たなんて信じ難い事実でした」と感激した。伊藤とは6作目の共演ながら、バディを演じるのは初めて。2人はクランクイン前から、大阪弁の練習を重ね、高い完成度で現場に臨んだ。染谷は「この大冒険で俺を引っ張っていってくださるのが、さまざまな困難を一緒に乗り越えてくださった兄貴、英明さんです。英明さんの波に乗ったら、そこには映画のスパークが待っているのです。最高です」と全幅の信頼を寄せた。
伊藤も「染谷将太さんとはこれで6作目になります。気づけば随分長い付き合いになりました。初めて会った頃はお互い少し距離を測り合っていたはずなのに、今では目が合うだけで『あ、また難しい芝居来たな』と通じ合える関係です」と、染谷への揺るぎない信頼感を口にした。「年齢も立場も超えて、現場で自然と呼吸が合う。その安心感と同時に、毎回きちんと裏切ってくる彼の芝居が楽しみでもあります」と期待した。
井筒監督は、20年の前作「無頼」が撮影された18年以来、実に8年ぶりにメガホンをとる。企画を立ち上げた製作・配給のK2 Picturesの代表取締役CEOの紀伊宗之プロデューサーが、“国境破り”というタブーに切り込み、予測不能で痛快な物語を描けるのは井筒監督しかいないとオファーし、作品が動き出した。井筒監督は「国境がどうしたんだ。そんな面倒なもの、この2人にはお構いなしだ!」と意気込んだ。
伊藤、染谷、井筒監督、黒川氏、紀伊プロデューサーのコメント全文は、以下の通り。
伊藤英明(桑原保彦役) このたび、映画「国境」に参加させていただくことになりました。原作は黒川博行先生。社会の裏側や人間の欲望を、圧倒的なリアリズムで描き続けてこられた作家です。国と国の境界線だけでなく、人の心の奥に引かれた見えない線まで浮かび上がらせるその世界観に、これから身を投じられることを光栄に思っています。染谷将太さんとはこれで6作目になります。気づけば随分長い付き合いになりました。初めて会った頃はお互い少し距離を測り合っていたはずなのに、今では目が合うだけで「あ、また難しい芝居来たな」と通じ合える関係です。年齢も立場も超えて、現場で自然と呼吸が合う。その安心感と同時に、毎回きちんと裏切ってくる彼の芝居が楽しみでもあります。そして井筒和幸監督。まだ駆け出しだった頃、監督の現場で言われた言葉があります。「兄ちゃんのセリフには血が通ってへんねん。」その一言が、俳優としての原点になりました。言葉に血を通わせること、感情を宿らせること。その教えを胸に、今作ではさらに血を巡らせ、熱を帯びた芝居で挑みたいと思っています。“国境”とは、地図上の線だけでなく、人と人、価値観や立場の違いの中にも存在するものだと感じています。その境界線の向こう側まで届くよう、監督、キャスト、スタッフ全員で力を合わせ、魂の通った作品を創り上げていきたいと思います。
染谷将太(二宮啓之役) このたびとてつもない大冒険に参加させていただくことになりました。企画書に「これは愛の不時着ではなく、悪の不時着です」という文言にしびれた日を忘れられません。原作は25年前に黒川先生がこの世に産み落とした『国境』です。時代が進むにつれより色濃くなっていくこの母船に乗り込み出港いたしました。この船のかじを取るのがあの井筒監督。10代の頃から引き込まれた井筒さんの口から自分の名前が出たなんて信じ難い事実でした。そして大好きな吉田さんが書かれた脚本を開いた瞬間、痛快な世界にのめり込んで読みいってしまいました。そしてこの大冒険で俺を引っ張っていってくださるのがさまざまな困難を一緒に乗り越えてくださった兄貴、英明さんです。英明さんの波に乗ったらそこには映画のスパークが待っているのです。最高です。アジアと大阪を駆ける井筒ノワール映画、世界で類を見ない痛快アクションコメディー映画確定です! 必死のパッチでこの大航海を乗り切ります! この大冒険を無事終えられた際は、皆さまと劇場でお会いできることだけを願っております。
井筒和幸監督 黒川さんの原作は、“国境”の存在理由を問うている。なぜ境が必要なのか。気に入らないものを排除する道具に使われているだけではないか。この作品は、任侠(にんきょう)道を貫くアウトローと生きあぐねる30代の若者の迷コンビが、カネの亡者、カネで買えないものはないとホザく悪党どもをたたきのめす、痛快無頼の冒険物語だ。2人は、強欲さが渦巻く関西大阪と、独裁者が支配する北朝鮮を股にかけて、国境線を突破して、詐欺師を追いつめ、その“悪行”を暴いていく。国境がどうしたんだ。そんな面倒なもの、この2人にはお構いなしだ!
黒川博行氏(原作) 疫病神シリーズは多く映画やドラマにしてもらったが、「国境」は声がかかっても実現しなかった。理由は簡単で、小説そのもののスケールが大きく、舞台の半分が北朝鮮であり、政治的背景は別にしても、ロケに多大の困難と制作費がかかるだろうというのが、わたしの考えだった。--が、「国境」の映画化が実現した。それも名匠、井筒和幸の監督で。主演は伊藤英明と染谷将太。ふたりとも、わたしの好きな俳優だ。脚本を読んだが、展開がスピーディーで大阪弁がぴたりとはまっている。裏社会の符丁と言葉遣いもリアリティーがあり、これらのセリフに俳優が絡んだら、どんなにすばらしい映画になるのだろうと期待しかない。井筒さん、ありがとうございます。十数年前、東京でお会いしたとき、まさか「国境」を映像にしてくれるとは思ってもみませんでした。ほんとうに楽しみです。
紀伊宗之プロデューサー(K2 Pictures) おかげさまでこれまでに沢山の映画を作って来た。でも、この企画が一番やりたかった事。だから、K2 Picturesを作った。逆風もたっぷりだ。井筒さんと英明さんと染谷くんとみんなで世間に一泡吹かせたる。お客さんに「いやーめちゃオモロかった!! よっしゃ!ビールでも飲みに行こ!」言わせたる。



