23日に放送されたテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜午前8時)で特集された、昭和と令和の働き方の世代間ギャップをめぐる特集で、レギュラーコメンテーターの玉川徹氏のコメントに、解説で出演した千葉商科大の常見陽平教授(労働社会学)が、激しくかみつく場面があった。
番組では、恒例のパネルコーナーでこのテーマを特集。前半部分では、今年4月に入社したばかりの新入社員からの退職代行への依頼が、22日までの間に全体の269件中57件あった(東京労働経済組合調べ)と紹介。また、上司や先輩が部下や後輩に過剰な配慮をすることで、結果的に相手の成長機会を奪う「ホワイトハラスメント」を、職場で感じる若い世代の社員がいることも伝えた。
常見氏は、新入社員の退職代行への依頼について「気をつけていただきたいのは、退職代行を使っている新入社員がいるのは事実だがマジョリティーではない」と指摘。ホワイトハラスメントに関しても「部下への指導がハラスメントか否かという軸で判断されていること自体は問題。叱り倒すことだけが成長の手段ではなく、上司がアップデートされているかどうかが問題で、成長したい若者がいることは認識しないといけない」などと指摘。番組MCのフリーアナウンサー羽鳥慎一も、この日の議論内容に関して「若者全員がこうですというわけではないというのが前提」と断った上で、進行した。
若い世代の会社での働き方や、「ホワイトハラスメント」をめぐる上司と部下の関係について見解が割れた玉川氏は「この話で、ぼくは何を話せばいいかなと考えていた」と切り出し、「昔の話をすると、僕は全然上司の言うこととか聞かない新入社員だったから、あつれきがものすごかった。あつれきがどうのこうのとか、問題なの? あつれきがあっても、生き残る人間は生き残るしとしか、あまり思わない。温かく迎え入れても、辞めるやつは辞めちゃうし、広い話として取り上げてもどうなんだろうと。それよりもっと社会がこれからものすごい勢いで変わっていく。あなた、それでこれからの世界に対応していけるんですか? ということしか思わないですけどね」と応じた。
羽鳥が、「(玉川氏は)ちょっと特殊な例」と口にすると、常見氏は「玉川さんが生き残れるテレビ朝日ってまともな会社だと思います」とした上で、「とはいえ、玉川さんの後半の発言はまったく同意しないです」と反論。「精神論で世の中を見てはいけないし、その中で普遍的な仕組みとかを見いだしていかないと、日本の職場は不幸なままになる。そこで苦しい思いをするのは若者たちだということは考えないといけないと思います」と訴えた。
これに対し、玉川氏は「苦しい思いは、僕が若いころだって、それより前の世代も苦しい思いをしていますけどね。今の世代だけ、苦しい思いをしているみたいなことを言われると、むしろ甘やかしているんじゃないのかなという感じすらします」と主張。常見氏は「いやいや、玉川さん、それはまったく賛同できませんよ。苦しさの種類が違うんですよ」と再び反論し「そもそも、ハラスメントがこれだけ容認されていた社会っておかしいと思いませんか」とただすと、玉川氏は「(ハラスメントという概念が)容認されていなかったから、昔はすごい大変な時代だったと思いますよ」と応戦した。
常見氏は「ハラスメントは容認してはいけない」と述べ、玉川氏も「社会が変わったんですよ」と、意見が重なりかけたが、常見氏は「世の中にいろんな変化の要素があるけれど、若者が苦しいとか、働く人が苦しいという前提が、労働社会をおかしくしていると、ぼくは思います」と主張。玉川氏が「昔から苦しかったです」とあらためて述べると、常見氏は「いや、苦しいは苦しいんだけど、今は苦しくないようにしている。こういった会社や社会の取り組みを、そんな簡単に否定していいんですか?」と持論をぶつけた。
玉川氏は「ん? 否定していませんよ」と常見氏の主張に疑問を呈したが、常見氏は「昔も今も苦しいと言ったけれど、苦しい働き方がなくなるようILO(国際労働機関)を含めて日本国も連合とか経済同友会、経団連ですら頑張っている」と持論を訴えた。
ここで羽鳥が「玉川さんも、否定はしていないですよ」と仲裁に入ったが、常見氏は「いや否定ですよ、否定ですよ」と、意見がかみ合わない状況が続いた。
玉川氏は「なんでそれを否定と受け取るのかなと」と納得できない表情を見せたが、常見氏は「昔も今も苦しいというくだりが、苦しいという種類を変えようと、一生懸命、労働者が変えようと努力しているんじゃないですか」と述べるなど、議論は平行線をたどった。
常見氏は、気を取り直し「すみません。先にいきましょうか」と、議論を進めようとしたが、玉川氏に「なぜ、そんなに突っかかってくるのかなとすごい、思っている」と指摘を受けると、「言い方が…そういうのが放置されたら苦しい労働社会が改善しないんですよ」と持論を訴えた後、「すみません」と口にした。
議論が思わぬ形でヒートアップし、羽鳥は「全体的には、今の働き方をよくしていきましょうという今日のお話なので(先に)いきましょうね」とフォローし、パネル企画を再開した。



