歌舞伎俳優8代目尾上菊五郎(49)が出演する全国巡業「松竹大歌舞伎 尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎襲名披露」が7月31日、埼玉・秩父宮記念市民会館で千秋楽を迎え、同時に、昨年5月から続いた8代目菊五郎襲名披露興行の大千秋楽を迎えた。
東京・歌舞伎座から始まり、大阪松竹座、名古屋・御園座、京都・南座、福岡・博多座など全国巡業、約150日に及ぶ披露興行を完走した菊五郎は「これからが本当のスタートだと思います」と気を引き締めた。
菊五郎は「最初は、菊五郎という名前の重みを担えるか不安ではあったのですが、5月の初日から本日の千秋楽まで、たくさんのご声援をいただき、菊五郎としての自覚、責任を持って進んでいこうという日々になりました」と、この1年2カ月を振り返った。
口上では、茶道裏千家の家元だった故千玄室さんが茶道で平和を願ったことを紹介しつつ「すべての歴代の菊五郎に感謝し、古典歌舞伎、新作歌舞伎、復活狂言を大切にし、文化の種をもって世界に平和をという大きな志で、懸命に精進してまいります」と決意を述べ、大きな拍手を受けた。
この日は、朝早くにパワースポットで知られる三峯神社、秩父神社をお参りして会場入りした。秩父はなじみ深い場所で、12月に秩父神社で行われる「秩父夜祭」にもよく足を運ぶとした。口上では、神社などの名所や多くのグルメスポットに触れて秩父愛を語り、観客を喜ばせた。
終演後、菊五郎は「自分の力ではなく、初代から名前を守り継いでくださったこと、お練りなどでも皆さんが一丸となって盛り上げてくださったことに心から感謝したいです」と話した。
客席からは長男菊之助(12)が父の姿を見つめていた。菊五郎は「私も父(=7代目菊五郎)の背中を見て自分に足りないところを見てきました。(巡業は)学校もあるので、私だけで回らせていただきましたが、彼にとっては学校も楽しいけれども、芝居に出たいと強く思ったのではと思います。もっと歌舞伎を好きになるきっかけになったと思います」とした。
今日8月1日は49歳の誕生日。40代ラストイヤーへの心づもりを聞くと「60歳でようようなのかなと思いつつも、1公演1公演、歌舞伎の魅力をお客さまにお伝えするということ、役の性根をとらえること、原作者を尊重し今まで以上に時代に合った表現方法を見いだすことをやっていきたい」と、変わらず進んでいくことを語った。
大仕事も終えお祝いですね、と言うと「そうですね、少し」と、ホッとした表情を見せた。【小林千穂】



