NHKラジオ第1の番組で、東洋大の中北徹教授(62)が原発問題を話そうとしたところ、東京都知事選を理由にNHKからテーマを変えるよう求められ、教授が出演を取りやめたことが30日、分かった。今後、同番組には出演しないという。

 番組は、30日午前5時から放送の「ラジオあさいちばん」の「ビジネス展望」コーナー。教授は月1回、同コーナーにレギュラー出演している。

 中北教授によると、30日の放送では「原発稼働のコストとリスク」をテーマに、原発の安全確保対策や再稼働のコストの上昇、廃炉費用に触れ「即時脱原発か、穏やかに原発依存を減らしていくのかという選択になる」と発言する予定だった。

 29日昼、原稿をNHKに送ったところ、NHK側から「選挙期間中なので投票行動に影響を与える可能性がある」「特定の候補に優位に傾く発言は控えてほしい」と言われた。中北教授は拒否した。

 中北教授は「選挙期間だからこそ、経済学者として情報や知見を提供し、議論のきっかけにしてほしいと考えた。原発はダメで福祉ならいいのか。NHKの基準も不明確で、テーマ変更は納得できなかった」と話している。

 NHK広報局は「都知事選では原発問題が争点の一つとなっており、期間中の番組はより公平性を期す必要があるが、今回の番組ではそうした対応が困難だったため、テーマの変更を求めた」とコメントした。