薬師丸ひろ子(50)が30日、ニッポン放送のレギュラー番組「ハート・デリバリー」(日曜午前8時半)の中で、今月10日に死去した高倉健さん(享年83)について語った。

 訃報を聞いた直後は「魂が抜けてしまったような気がしました」という。収録スタジオには、いつも自宅の書斎に飾ってある高倉さんと写した写真を持ち込み、それを見つめながら話した。

 78年に公開された高倉さんの主演映画「野性の証明」で女優デビューした。映画共演はその1作だけだったが、その後も公私にわたって交流があった。デビュー当時は「ブス」と呼ばれ、その後は「ヤク」「ヤックン」と呼び名が変わったという。食事に誘われる時は、「お友だちも連れていらっしゃい」と言ってもらい、幼なじみが同席したこともあったという。

 訃報が伝わってからこの日まで、高倉さんについて語ることはなく、沈黙を守っていた。「胸がしめつけられていた。感情をごまかして過ごしていた」。

 映画共演した時のことについて「真摯(しんし)に映画に向き合う姿が今も心にある。命がけでやるものだと感じました」などと振り返った。

 高倉さんの遺作となった「あなたへ」の撮影現場を訪問したこともあった。「何十年ぶりかに俳優高倉健の姿を自分の目に焼きつけることができたのは、自分の糧にできます」。

 今は高倉さんが「おれは人生をやりきった。さあ、おまえはこれからどうするんだ。そんなに人生は長くないぞ」と言われている気がするという。そして「いつか人生を生き抜いたことをご報告できるように、高倉さんにほめられるというより、叱られないように過ごしていこうと思う今日このごろです」と話した。