落語家笑福亭鶴光(60)に破門された元弟子が、落語芸術協会に「殺すぞ」などと脅迫電話をかけたとして25日までに警視庁新宿署に逮捕された。

 逮捕されたのは無職出来谷純一容疑者(35)。鶴光の熱烈なファンで、仕事場で出待ちをするなどして、去年5月に弟子入りした。笑福亭乃光(のこう)の芸名で見習い修業をしていたが、7月に出来谷容疑者が寄席の楽屋で歌を歌ったため、兄弟子が注意。口論となり兄弟子を殴るなど暴力を振るったため、破門を言い渡されたという。

 新宿署の調べでは、出来谷容疑者は今年1月、8回にわたり、自分の携帯電話から新宿区の協会の事務局に電話をかけ「全員殺すぞ。おまえらも巻き添えや」などと脅した疑い。「恨みがあった」と容疑を認めている。ほかの落語家や寄席にも嫌がらせ電話があり、協会は今年2月に新宿署に被害届を出していた。

 鶴光はこの日、都内で「落語芸術協会、落語家のみなさん、ファンに申し訳ない。私が代わっておわびしたい。彼には反省して新たな人生を見つけてほしい」とコメントした。修業期間はわずか2カ月で、性格や人物など今後理解を深めていこうという時期だったようだ。

 協会会長の桂歌丸は「破門になったのを逆恨みするなんてとんでもないこと。お間抜けなのは、自分の携帯電話で掛けてきて、上方なまりもそのまま。私のところまで電話はありませんでしたが(寄席の)席亭さんにまで迷惑を掛けたので被害届を出した」などと話した。

 落語芸術協会は落語家や漫才師、講談師ら約180人が所属している。鶴光は上方落語協会、落語芸術協会両方に所属しており、主に東京の寄席で活動している。