デンマーク王室のフレデリック皇太子(43)が今日13日に来日し、明日14日に宮城県東松島市を訪れて義援金を含む約4000万円を寄付する。海外王室が東日本大震災の被災地を訪問するのは初めて。サッカーの02年W杯日韓共催大会でデンマーク代表が和歌山県をキャンプ地にし、昨年の南アフリカ大会では直接対戦したこともあって両国の関係は親密化。今回も皇太子は東松島市の地元小学生とサッカーに興じる予定で、同市を継続的に支援していく方針も固めている。

 今日の午前便で来日するデンマークのフレデリック皇太子は、サッカーボールを持って明日14日に東松島市入りする。小学校を訪れ、同行するメルビン駐日本大使(52)とチームを組んで6年生とミニゲームをして楽しむ予定だ。

 今回の被災地訪問のきっかけは、3月30日にメルビン大使が東松島市を訪れたことにさかのぼる。被災地支援を熱望していた大使が宮城県在住の知人の「それならば被害が甚大だった沿岸部の東松島市に行ってほしい」という要望を受け入れ、東京から車に支援物資を積み込んで同市に入った。この時は義援金1650万円と避難所にデンマークのブロックおもちゃ「LEGO」(レゴ)を40箱寄付している。

 メルビン大使の行動を称賛したフレデリック皇太子が、デンマークの企業に声を掛けて義援金を募った。義援金、支援物資などを含め、総額約4000万円を東松島市に手渡す準備をしている。今後も同市への支援を継続していく意向という。

 サッカーにこだわる理由がある。デンマークは02年W杯日韓大会1次リーグで韓国を試合会場にするグループAに入ったが、キャンプ地は和歌山にした。順調に調整を重ね、優勝候補フランスと同組ながら勝ち点7で1位突破。さらに昨年の南アフリカ大会では1次リーグで日本と同組になり、敗れはしたものの、東京・渋谷の大使館で行ったパブリックビューイングでは両国の約300人が朝までエールを交換して絆を深めている。大使館関係者は「皇太子はその時のお礼も込めて東松島市に行くことを決意した」と説明した。

 支援はこれだけではない。フレデリック皇太子は景勝地・松島の島を巡る観光遊覧船にも乗船するという。本来ならこの遊覧船は外国人観光客にも人気のスポット。しかし地震や津波に対する恐怖感や、福島第1原発の放射能汚染が広がっているとの風評被害で、震災後の外国人観光客は前年同時期比で約6割も減少した。その話を聞いた皇太子が「松島が安全な場所であることを世界に実証したい」と話したという。イケメンとしても知られる皇太子には、デンマークから報道11社が同行取材。欧州各地への情報配信を通じて日本の安全がPRされる。