メディア露出がほとんどないシンガー・ソングライター浜田省吾(60)が約12年ぶりにテレビ出演することが11日、分かった。NHKBSプレミアム「浜田省吾ライブスペシャル~僕と彼女と週末に~」(7月28日午後10時50分放送)。出演決意の背景には、東日本大震災の復興支援を風化させてはならないという思いがあるという。最近のライブ映像やインタビューも登場する。周囲には「おそらく最後のテレビ出演になる」と話している。

 浜田のテレビ出演は、01年のNHK特別番組以来、12年ぶり。同局関係者は出演理由を「3・11が頭の中にあること」と説明した。震災の復興支援を風化させてはならないという強い思いがあるという。

 10年10月にDVD「僕と彼女と週末に」を発表。「どうして我々は今、こうしてこの状況にあるのか」をテーマにした映像作品で、権力や欲望のほか、核など人間が制御できない文明科学の発達を危ぶむ気持ちも込められている。この思いを基調としたツアーの準備中に震災が発生。11年4月からツアーをスタートさせたが、浜田は「悲しみと喪失感、張り詰めた緊張感の中で行われたツアーはミュージシャンにとっても、スタッフにとっても特別な旅になりました」という。今回の番組でツアーの様子も紹介されるが「音楽番組なので音を楽しんでいただくことを目的として制作しましたが、基にあるコンセプト『どうして我々は今-』を感じていただけたら幸いです」と話している。関係者によると、浜田は人知れず被災地に入り、がれきや生活物資を黙々と運んでいたという。ツアーのステージでも「間違いなく日本は戦後最大の危機に面している。悲しみを忘れず前を向こう」と呼びかけている。番組でも復興に向けた言葉が発信されるはずだ。

 番組は最新ライブ映像を中心にインタビューなどを交えてアーティストとしての生きざまも紹介する。映像の奥にある思いを伝えるためナレーションにも初挑戦した。関係者は「60歳の浜田が今、何を感じ、これからどう進むのか、過去と現在、これからを見ることができると思う」と話す。

 これまでテレビ出演が極端に少ないのは、ライブを自分の音楽のよりどころと考え、直接歌を聴いてほしいとの思いから。アーティストはライブやCDで成立しなければならないというこだわりを持つ。今回の収録を編集した別番組の放送の可能性もあるが、浜田は同局関係者に「おそらく最後のテレビ出演になる」と語っているという。

 ◆浜田省吾のテレビ出演

 79年10月フジテレビ系「夜のヒットスタジオ」と同11月TBS系「ヤングおー!

 おー!」や、81年3月テレビ神奈川「ファイティング80's」に出演した程度。01年12月NHK衛星「浜田省吾

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 RISES~日はまた昇る~」で約20年ぶりテレビ出演を果たした。

 ◆浜田省吾(はまだ・しょうご)1952年(昭27)12月29日、広島県生まれ。72年にロックバンドAIDOを結成、75年にプロデビュー。76年にアルバム「生まれたところを遠く離れて」とシングル「路地裏の少年」でソロデビュー。代表曲は「J.BOY」「MONEY」「悲しみは雪のように」「さよならゲーム」など。86年アルバム「J.BOY」で初のオリコンランキング1位(4週連続)。トレードマークはサングラス。血液型O。