サザンオールスターズが、12月21日公開の映画「永遠の0」の主題歌を担当することが11日、分かった。戦争をテーマにした作家百田尚樹氏のベストセラー小説が原作で、岡田准一(32)が主演する話題作に際して、桑田佳祐(57)が作詞、作曲。オーケストラをバックに歌い上げるバラード「蛍」が完成し、8月7日発売のオリジナル4曲入りシングル「ピースとハイライト」に収録した。サザンが映画主題歌を手掛けるのは、90年の桑田監督作品「稲村ジェーン」の主題歌「真夏の果実」以来23年ぶりとなる。

 「蛍」は、桑田が3月下旬に映画製作サイドから熱心なオファーを受け、書き下ろした。自宅に届いた製作途中段階のDVDを見た桑田は手ぬぐいをビショビショにぬらすほど泣き、親しい関係者に「今年NO・1の映画になるのではないか」と話したという。

 同曲には、映画主題歌の枠にとどまらず、身近な愛する人に先立たれた人への思い、普遍的な平和への祈りも込められているという。メンバー全員が胸に刻み込んでいる東日本大震災への思い、大切な人との別れ、食道がんとの闘病を経験した桑田自身の思いも詰め込まれている。桑田は「家族のために必ず生きて帰る。それこそが愛ではないか。そう信じ、待っている人がいることそのものが、生きる力となり、生きる原動力となっている」と話している。

 また、5年ぶりに活動再開するサザンの新シングル「ピースとハイライト」は、「蛍」も含めてどれも社会と向き合った曲ばかり。平和、命、日本の光と影などを描き、桑田特有のジョークやエロチックな楽曲は入っていない。映画「永遠の0」は、そんな桑田の思いに合致した作品で、「現代を生きる私たちにも通ずる、そんな主人公宮部久蔵の姿に非常に大きな感動をいただきました」とコメントしている。

 ◆「永遠の0」

 百田尚樹氏原作で、06年出版以来、累計発行部数280万部を突破した小説の映画化。「生きて、必ず生きて帰る。妻のそばへ、娘の元へ」。そう約束した男が、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。健太郎(三浦春馬)は、零戦パイロットだった祖父宮部久蔵(岡田准一)の足跡をたどる。宮部の妻松乃は井上真央。真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦も描かれ、奄美大島、千葉などで撮影。実物大のゼロ戦を撮影用に造り、空母赤城の艦橋なども再現される。