覚せい剤所持と使用の疑いで警視庁に逮捕された歌手ASKA(本名・宮崎重明)容疑者(56)に、敏腕弁護士がついたことが10日、分かった。東電OL殺人事件で、被告男性の再審無罪を勝ち取った神田安積(あさか)弁護士が弁護人を務める。

 97年に発生した同事件では、不法滞在していたネパール人男性が強盗殺人容疑で逮捕、起訴されたが、DNA鑑定の有効性をめぐる難しい案件で、神田弁護士は、ほか2人の弁護士とともに同事件を担当。男性は1審で無罪判決も、控訴審で逆転有罪判決が下り、上告も棄却されたが、再審を経て、12年に無罪が確定した。この裁判をきっかけに、神田弁護士の敏腕ぶりは知られることになったが、それ以前にはプロ野球選手の契約交渉をサポートし、注目されたこともある。

 ASKA容疑者が、どういう経緯で神田弁護士を弁護人に選定したかは不明だが、今回の事件ばかりは、敏腕弁護士でも量刑の軽減は難しいとみられる。自宅から覚せい剤の粉末やMDMA約90錠、ガラス製吸引器などが見つかり、尿検査や毛髪鑑定でも陽性反応が出ている。来週中の起訴、有罪判決は確定的。東京地検特捜部元副部長の若狭勝弁護士(57)は「(弁護人によって)量刑に変化が出ることはありません。覚せい剤事犯はきわめて定型でやっており、検察の基準も決まっています。初犯であることから執行猶予はつくのでは」と話している。