新型コロナは第8波に入ったとする学者がいる一方、厚労省の助言機関は「増加は鈍化傾向」としている。そんなとき、いつものS医師からメールが届いた。

〈私の診療所でも発熱患者4人のうち3人がコロナ陽性という感染傾向です。ただワクチンのおかげもあって重症者は、ほとんどいないという状況です。こうしたなか、国民のすでに5~6分の1の人が罹患(りかん)したとみられ、治療費の全額をいつまでも公費負担としていて医療経済崩壊にならないのか。率直に心配です〉

そのうえでS医師のメールにはこうした指摘も。

〈重症者が少ないとはいえ治療後、長引く咳(せき)、倦怠(けんたい)感、嗅覚異状といった後遺症の患者さんもおられます。

さらにここにきて心配な報告が出始めています。コロナ感染者と未感染者を比較した場合、コロナが心筋梗塞をはじめ、心血管疾患の罹患率や死亡率を高めているようなのです。加えてウイルスが、がん抑制遺伝子の発現を低下させるらしく、発がんの率が有意に高くなっているというのです。

急性期の症状が軽いからといって、まだまだインフルエンザと違って不気味なウイルスなのです〉

最後にS医師は

〈今後、いかにしてこのウイルスと共存していくか。われわれクリニックの医師にも、発熱外来の引き受けや、ワクチン接種もそろそろ堪忍してほしいという気持ちも出始めているところです〉

国内でコロナ感染が確認されて間もなく3年。国産治療薬が承認される一方で、危惧される後遺症やウイルスによる将来的影響。いま私たちは、あらためて「正しく恐れる」の原点に立ち返るときなのかもしれない。

◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。