岸田文雄首相は「寅年」の政界ジンクスを打ち破れるか(21年11月30日撮影)
岸田文雄首相は「寅年」の政界ジンクスを打ち破れるか(21年11月30日撮影)

仕事納めを前に、今年さまざまな政治決戦の舞台となった永田町は、早くも年末年始モードに入っている。議員会館を歩くと、廊下には、年末年始休みに届く郵便物を入れる段ボールを置いた事務所が目についた。一方で、来年は参院選の年でもあり、改選を迎える参院議員の事務所では、まだまだ活発に動いている。

来年、2022年は寅(とら)年。干支(えと)の中には、政界の動きに少なからず影響を与える「ジンクス」を持つものがあり、「干支と政界」はしばしば、話題になる。

特に有名なのは、「子(ね)年の政変」だ。子年はこれまで戦後7回あるが、うち6回で首相が退陣して政権が変わった。直近では2020年、新型コロナ対応で厳しさを増す中、1強時代をつくりあげた安倍晋三氏が退陣したのは、記憶に新しいところだ。その前の2008年も福田康夫政権から麻生太郎政権に、その前の1996年も村山富市政権から橋本龍太郎政権へと首相が交代するなど、政変が起きた。

子年以外にも、亥(い)年の選挙は、自民党に厳しい結果をもたらすことがあった。「亥年選挙」は、4年に1度の統一地方選と3年に1度の参院選が重なる年。直近の2019年は第2次安倍政権下で自民党は勝利したが、その前の2007年の参院選では、第1次安倍政権下で自民党は民主党に敗北。安倍氏の退陣につながった。

そして、寅年。寅年には参院選が行われてきたが、ここ最近の寅年選挙は、政権与党に厳しい結果が出ているというジンクスがあるのだ。

中曽根政権下で行われた1986年の衆参同一選こそ自民党は圧勝したが、その次の寅年1998年に行われた参院選は、橋本龍太郎首相(当時)の恒久減税をめぐる「失言」もあり、自民は敗北。橋本氏は退陣し、小渕政権になった。また民主党政権下の2010年参院選も、菅直人首相(同)の消費税をめぐる発言のぶれで民主党が敗れ、2年後の自民党の政権奪還への序章となった戦いでもあった。

来年は参院選の年。岸田首相も今年の衆院選に続いて、応援に駆け回るとみられる(21年10月27日撮影)
来年は参院選の年。岸田首相も今年の衆院選に続いて、応援に駆け回るとみられる(21年10月27日撮影)

来年の参院選は、岸田文雄首相にとって2度目の選挙となる。今年10月の衆院選は、政権発足直後で、予定よりも時期を前倒しするなどして野党の勢いをそぎ、劣勢の情勢調査を翻して、大勝した。その後も岸田の内閣支持率は6割前後あるが、一時期落ち着いていた新型コロナウイルスの新変異株、オミクロン株がじわじわ拡大、政権運営でも石原伸晃氏を登用した「お友達人事」の失敗や、安倍政権の「負の遺産」アベノマスク廃棄問題、安倍晋三元首相との微妙な関係性など、不安要素は探せばいくらでもある。野党との関係も、日本維新の会の台頭などで、野党第1党だけと対峙(たいじ)する時代ではなくなった。

まもなく年が明けると、参院選まで半年あまり。どんな結果になるのか、何が起きるかは、まだ誰にも分からない。ただ昨年も「日本で五輪開催の年には首相退陣」という有名な「政界のジンクス」が、ジンクスどおりになった。

寅年の政界ジンクスにとらわれてしまうのか、打ち破るのか。岸田政権にとっては、緊張の2022年となりそうだ。【中山知子】