これで自身の持つデビュー後の連勝記録を「16」に伸ばした。超大型ルーキーは「途中、苦しい将棋がたくさんあった。16連勝できたのは本当に幸運でした」と振り返った。

 インターネット放送の非公式戦で第一人者・羽生善治3冠(46)に勝ったこともあり、その注目度はもはや将棋界の枠を飛び越えている。この日の対局にはワイドショーのテレビカメラ約10台を含む、約30人の報道陣が詰めかけた。

 14歳がどこまで勝ち続けるのかに話題が集まる中、公式戦の歴代連勝記録のベスト10入りも視野に入った。歴代最長記録は、神谷広志八段が1987年(昭62)に記録した28連勝。藤井四段の「16」は歴代では単独11人目となり、ベスト10入りまであと「1」に迫った。関係者は「連勝記録は強さはもちろんだが、対戦相手など運の強さも必要となる」。藤井四段は「28」に「途方もない記録なので、自分は一局一局勝っていきたい」と謙虚に話した。

 毎日、新聞を読み、社会情勢にも関心を寄せる中学3年生。会場入りの際は、ブルーのリュックサックにスーツにえんじ色のネクタイ姿。あどけなさが残る天才棋士の勢いが止まらない。【松浦隆司】

 ◆新人王戦 26歳以下、六段以下(タイトル戦経験者を除く)の若手男性プロ、女流棋士、プロ養成機関「奨励会」三段、アマチュア枠で赤旗名人戦の優勝者など40人が参加するトーナメント。決勝は3番勝負。過去には羽生善治、佐藤天彦ら新旧名人、渡辺明、糸谷哲郎ら新旧竜王も優勝しており、トップ棋士への登竜門とされる。最年少優勝は、87年の第18期を制した森内俊之九段の17歳。