九州北部豪雨は、地域の農業にも深刻な影響を与えている。福岡県朝倉市の日本最古の実働する水車で、国指定史跡の「三連水車」と水車が設置されている「堀川用水」は、今月2日の復旧まで、土砂と流木で水路が詰まり、約1カ月間、農地に水を送れない状態が続いていた。多くの水田の稲が豪雨の濁流に流され、稲が残った水田でも長期間干上がった影響は深刻だ。泥に覆い尽くされた水田の農家は「復興の費用を考えると、現実的ではない。農業をやめる人が多く出る」とみている。
筑後川右岸から北に約1キロ。国道386号沿いに広がっていた水田は、あぜの高さで広がる土の平面に変わり果てていた。近づくと表面が乾いており、ヒビが入っている。朝倉市菱野で6代続く農業藤井謙二さん(62)は、数十本だけ残った稲を見下ろしながら苦い表情で言った。「粒子の細かい土が50センチは積もっとる。復旧には1反1000万円は掛かるとじゃないか。受益者負担は1割。うちは6反だから600万円。これから600万払って稲作ると思うか?」。
三連水車からの水で潤っていた水田だった。用水はようやく復旧したが、土で固まった田には何の意味もない。土が入らなかった近所の田も干上がっていた期間に稲が枯れ始めた。畑の作物も、冠水による窒息で枯れた。水車は回転を始めたが、水車から田畑へ続く暗きょ部分の用水の詰まりもある。個人でどうこうできる規模の災害を通り越している。「国会も加計学園やらより復興を先にしてもらいたい。権力闘争のアホばっかりじゃ」。国の対応の遅さが腹立たしい。

