「土菅(どかん)戦争」の“最終決戦”だ。自民党の土屋正忠氏(75)と、立憲民主党の菅直人元首相(71)が激突する東京18区。2人は長年のライバルだが、国政選挙では過去4度対戦し、2勝2敗のイーブン。今回、比例重複できずに小選挙区一本の土屋氏と、前回14年の選挙で全475議席中、最後の475番目にようやく比例復活で議席を得た菅氏は、ともに「崖っぷち」。勝ち越しとメンツをかけた激戦だ。

 土屋、菅氏は、長年のライバルだ。武蔵野市長から05年に国政転身した土屋氏と、同地盤で当選12回を数えるベテラン菅氏。頭文字から「土菅戦争」と呼ばれる戦いは、過去4度の衆院選で2勝2敗(小選挙区)。今回は、メンツとともに勝ち越しもかかる。

 菅氏は20日、武蔵野市の駅前で演説した。「総理も経験し、すべてうまくいったとは思わないが、精いっぱいやってきた。枝野代表が立ち上げた立憲民主党を下支えする役回りをさせてほしい」と主張。「小選挙区で勝たせてほしい」「小選挙区で」と繰り返した。

 菅氏は前回、土屋氏に約1万6000票の差をつけられて小選挙区で敗北。比例でもなかなか議席が確定せず、議席確定は投開票日の翌朝。最後の475議席目に滑り込んだ。総理経験者らしくない結果に「究極の比例復活」といわれたが、菅氏は、「公示前にいいことがあった」と話す。

 1つは立憲民主党への期待。三権の長経験者として早々に希望の党の「排除」対象となったが、エダノン人気で、枝野氏との遊説には数千人が集まった。また、今月1日の武蔵野市長選で、自身が推す松下玲子氏が自民候補にダブルスコアで初当選。菅氏は「松下氏に投票した人が私に投票してくだされば、小選挙区で勝てる」と強調。「立憲民主党はそう遠くなく、自民党に対抗できる2大政党になれる」と、自民&土屋氏への対決姿勢を強調した。

 一方の土屋氏。今回は、党の73歳定年制の内規で比例重複ができず、小選挙区一本の戦い。比例重複の菅氏より厳しく、小選挙区で負ければ落選だ。陣営も「厳しさを肌で感じる」と漏らす。土屋氏の売りは、豊富な行政経験。遊説では「衆参700人の国会議員で、私が最も地方自治を知っている」と述べ、安倍政権の北朝鮮情勢対応を挙げ「方針さえ決まっていない党が、現局面で働けるわけない」と、菅氏をけん制した。ともに負ければ、政治生命を左右する崖っぷち。激戦は最終盤まで続く。【中山知子】