公式戦29連勝の新記録を樹立した将棋の最年少プロ、藤井聡太四段(15)が2日、大阪市の関西将棋会館で指された76期順位戦C級2組6回戦で脇謙二・八段(57)を70手で破り、6戦全勝とし首位をキープした。公式戦通算49勝(6敗)。大台の50勝に王手をかけた。対局後、高校進学を決断した背景を語った。

 進路を決定後、初の対局を白星で飾った藤井は「軽率な一手もあり、苦しい場面もあった」と振り返り、順位戦6連勝に「ここまで全勝でくることができたので残り4戦も全力を尽くしたい」と話した。順位戦C級2組は各自10局を戦い、上位3人が昇級する。

 藤井は愛知県有数の進学校である中高一貫校の名古屋大学教育学部付属中学3年に通うが、高校進学か、将棋1本に専念するか迷っていた。10月25日に日本将棋連盟を通じ、来年4月に高校に進学することを発表した。

 対局後、藤井は「(進路を決めても)対局に臨む上では同じ気持ちです。とくに変わったことはないです」と冷静に話した。高校進学を決めた背景として「これからの3年間で将棋が強くなることはもちろんですが、その上でいろいろなことを吸収していきたいなと思いました」。将棋とは違う世界からも貪欲に吸収したいと姿勢を持ちたいと強調した。

 学業との両立により将棋に当てる時間の制約ができるが「その中で集中してやれば強くなれると思っています」とキッパリ。「かなり悩んだ? 強くなるためには、これからが一番大事な時期だったのである程度、考えました」。中学生棋士は人生の岐路での選択に多くの時間をかけたことを明かした。