学校法人「加計学園」(岡山市)獣医学部新設に関して「首相案件」と発言したとされる、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が10日午後、午前の衆院予算委員会に続き、参院予算委員会に参考人招致された。

 立憲民主党の蓮舫氏は、愛媛県職員が書いた「愛媛文書」の中に、安倍首相と首相が「腹心の友」と呼ぶ加計学園の加計孝太郎理事長との会食について記載されていたことを引き合いに「何か言われたか?」と質問した。柳瀬氏は「備忘録が配られ、マスコミに出るの変な話。片方のメモを取った方が良いと言われるのはおかしい」と、半ば開き直りと取られるような発言をした。これには場内に失笑が漏れた。

 蓮舫氏が「愛媛県がウソを書いているということか?」と追及すると、柳瀬氏は「私が申し上げるのは、私が記憶がないということ」と返答。蓮舫氏は「2人(安倍首相と加計理事長)が疑われないようにするのが秘書官の仕事なのに、つないでいる。全ての面会記録を、黒塗りをなくし、愛媛県知事を参考人として来てほしい」と、愛媛県の中村時広知事の参考に招致を求めた。

 また蓮舫氏は、先に質問に立った国民民主党の川合孝典氏が、柳瀬に4月2日の面会が1時間半に及んだのでは? と指摘した件について「面会は40分じゃないですか?」と質問した。柳瀬氏は「90分はさすがに長すぎるかと」と答えた。「私の情報では40分で退席したと?」と追及すると、柳瀬氏は「90分はさすがにないかと」と繰り返した。

 蓮舫氏は自身の持っている情報として「(4月2日の)15時35分から安倍総理が(当時の文科省)下村大臣と会っている。空白の9分間に会っているのでは?」と追及した。柳瀬氏は「下村大臣とお会いした記憶はない」と返答。「安倍首相とは?」と聞いても「1日に5~10回も会うので、そこでお会いしたか記憶を引き出せない」などと答えた。

 蓮舫氏は「3月24日の面会後に4月2日に面会。3月に国家戦略特区でいこうと助言してないか?」と質問した。柳瀬氏は「具体的な話を記憶していないが(面会の時には)国家戦略特区はスタートしていた。安倍政権の大事な政策だったのでPRした。国家戦略特区の話になったと思うが、どれくらい具体的な話か分からない」と答弁した。

 蓮舫氏は「(国家戦略特区の)申請者は自治体(愛媛県、今治市)で、加計学園が手を挙げられるのは、その20カ月後の1月4日。途中で京都(産業大学)が排除され、前川(喜平前文部科学)事務次官が『行政がゆがめられた』という…全てつながった。そのスタートは4月…加計ありきだったのでは?」と質問した。柳瀬氏は「加計ありきという話だが、今治市が最初から加計を念頭に置いていたが、正当な手続きで決まっていったと理解している」と主張した。