千葉県松戸市のベトナム国籍の小学3年生レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9)が殺害された事件でわいせつ目的略取・誘拐、強制わいせつ致死、殺人、死体遺棄の罪に問われた渋谷恭正被告(47)の裁判員裁判第8回公判が14日、千葉地裁(野原俊郎裁判長)で開かれた。

 逮捕から初公判まで黙秘してきたとされている渋谷被告だが、被告の主張と検察側の主張には食い違いが生じた。

 事件は警察の捏造(ねつぞう)だとして無罪を主張している渋谷被告は弁護側の質問に、昨年4月14日の逮捕からの認否について「知りません、分かりません、やってませんと言ったのに、警察から『DNAと指紋が出ているからお前が犯人だ。うるさい、だまれ』と言われ、逮捕状提示もなかった」と話した。その後の取り調べについては、「うるせえ黙れと言われたので黙秘しておりました」と説明。逮捕当初は否認したと主張した。

 渋谷被告は「『やっただろ』『分かるよね』と言われ、いきなり身柄を拘束されました」などとした。これに対し、検察側は当時の捜査記録を元に「まず、マンション前で警察官から『これから学校ですか』と声を掛けられ『そうです』と記録にあるが?」と質問したが、渋谷被告は「覚えていない」と答えた。

 検察側は、声をかけた後、マンション前で軽自動車、近くの駐車場でキャンピングカーを差し押さえた後、捜査車両内で逮捕状を示して逮捕と記録されているとしたが、被告は「私は逮捕が先と思っている」と主張。しかし、どこで逮捕されたか問われると、被告は「マンション近くのコインパーキングで逮捕状を示されて手錠をされた」。この発言に検察側から「逮捕状見せられてるじゃないですか」と確認されたが、今度は「表示されたけど、読んでない」とし、「私は最初に逮捕されたことしか覚えていない」と話した。