2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック開閉会式を演出する総合統括に就任した狂言師の野村萬斎(52)、五輪統括の映画監督の山崎貴氏(54)、パラ統括の広告クリエーティブディレクターの佐々木宏氏(63)が7月31日、都内で会見し、具体的な演出プランのヒントを披露した。野村は20年大会を招致した根拠の1つである「復興五輪」を意識し、「鎮魂と再生」をテーマに掲げた。「平和の祭典」という原点にも触れ「死を意識することで生の祝祭性を感じられる式典」を表現したいとの思いも語った。
シンプルだが、深層的な和の精神を伝える。通例4時間台の式典をギュッと中身の詰まった3時間台を目指す。ウケて、笑えて、気持ち良く、お国自慢ではない日本を世界に見せる。
期待が高まるアイデアが野村、映画「ALWAYS三丁目の夕日」で知られる山崎氏、ソフトバンク「犬のお父さん」など人気CMを手がける佐々木氏の口から次々と出た。最初に触れたのはやはり「復興五輪」。野村は「能や狂言という立場から『鎮魂と再生』が重要な部分。チームでも賛同いただいているので生かしたい」と決意を示した。
五輪の原点、平和へのメッセージも強調。20年8月9日にある五輪閉会式が長崎原爆の日と重なった点について聞かれた山崎氏は「せっかくのタイミング。(演出に)関連づけられたら良い」と前向きに語った。
五輪閉幕とパラ開幕の間に、終戦記念日の8月15日があり、野村も平和に関する演出プランに触れた。
野村 五輪が生まれた経緯は戦争に対するアンチテーゼ、殺し合いでなくスポーツで競い合うというのが根幹にある。戦争と、平和の祭典は表裏一体。戦争、災害に遭う悲惨さに目を背けず、思いを巡らせることで今生きていることの祝祭性を感じるべきではないか。スポーツは「生」を燃やす。そんな式典こそがオリパラの根幹になるのでは。
エンタメ性も大いに表現する。16年リオ五輪の東京大会引き継ぎ式で「安倍マリオ」を企画した佐々木氏は「土管でただ帰ってくるのでは期待に応えられない」と自らハードルを上げ「五輪よりもパラの方が面白いぞと。そんな挑戦をしたい」と宣言。時間短縮を検討することについて「障害のある選手がずっと同じ場所にいるのは大変。だらだらとその場にいるのではなく工夫をしたい」と思いを述べた。
聖火台への点火について野村は「日本は伝統から最先端まで機知に富んだ発想、テクニック、デジタルなどさまざまなコンテンツを持っている」と多様な手法を取り入れつつ「ストーリー展開、コンセプト上、必然のある聖火台、点火になれば」と語った。「時に静まり、時に高揚する」式典が、2年後の新国立競技場を彩る。【三須一紀】

